「分離症と言われた。ゴルフはもう無理なのか」 「すべり症で、腰を反らすと痛い」 「若い頃の分離症が、最近また痛み出した」
——この記事は、腰椎分離症・すべり症と付き合いながら、それでもゴルフを続けたいあなたのための記事です。
30秒で結論
- 腰椎分離症・すべり症でも、ゴルフは続けられます。 ただし急性期(強い痛み・疲労骨折が新しい時期)は、まず整形外科での診断と医療管理を優先してください。
- 分離症=腰の骨の後ろ側(関節突起間部)の疲労骨折。すべり症=腰の骨が前にずれた状態(分離すべり・変性すべり)。
- どちらも、「腰を反る+ひねる」の反復で起こり・悪化します。 ゴルフのスイングは、まさにこの動き。配慮は脊柱管狭窄症に近い(反らせない)です。
- 腰は“被害者”。 反らせている加害者は、回らない股関節と硬い胸椎。これらがサボると、その分を腰の反りとひねりが肩代わりします。
- 避けたい動き:腰の反り+ひねりを腰で受けるスイング、過度な伸展ストレッチ、痛みを我慢した打ち込み。
- 守る体づくり:股関節に乗れる・胸椎が回る・腹圧で腰を中間位(反らせない位置)に保つ。
- 「分離症だから一生ダメ」ではありません。 加害者を整え、反らさない体に変えれば、ゴルフは続けられます。
この記事が答える質問
- 腰椎分離症・すべり症でも、ゴルフを続けていい?
- 分離症とすべり症は何が違う?
- なぜゴルフで分離症・すべり症が起こる・悪化するの?
- 腰を反らさないスイングとは?
- 避ける動き・やっていい運動は?
- 昔の分離症が中高年で痛み出したら、どうすれば?
「反らない・ひねらない意識で」だけでは、足りない
「すべり症 ゴルフ してもいい?」。いまは AI に聞く方も増えました。当院が2026年9月に ChatGPT へゴルフの体の悩みを69問聞いた調査でも、この質問への答えは、医師の制限が無ければ続けられる/ハーフスイングや短いクラブから/強いフルスイングと無理な捻転は避ける/股関節と胸椎のウォームアップ/腰だけをひねらない意識、でした。危険サインの説明も正確です。
間違っていません。ただ、この答えの通りに気をつけている方ほど、こう言われます。「反らないように意識しているのに、振ると反ってしまう」。
意識で止められないのは、腰が反りたくて反っているのではないからです。股関節と胸椎が動かない分を、腰が肩代わりさせられている。 肩代わりの原因が残っている限り、速く振った瞬間に、腰はまた反ります。この記事では、「避ける」の先にある、反らずに済む体の条件までを解説します(調査の全体はこちら)。
分離症・すべり症とは——なぜ“反る”と悪化するのか
まず、分離症とすべり症がどういう状態かを、中学生でもわかる言葉で説明します。
背骨の一つひとつの骨(椎骨)には、後ろ側に骨が引っかかり合って支える部分があります。
- 腰椎分離症:この後ろ側の支え(関節突起間部)に、繰り返しのストレスで“ひび”=疲労骨折が起きた状態です。スポーツをする成長期に多く起こります。
- 腰椎すべり症:分離が原因で、または加齢による変性で、骨そのものが前にずれてしまった状態です(前者を分離すべり症、後者を変性すべり症と呼びます)。

そして重要なのが、どちらも「腰を反らす」と、後ろの支えにストレスがかかって悪化しやすいことです。これは、同じく「反ると悪化」する脊柱管狭窄症に近い配慮になります。
※成長期の新しい分離症(疲労骨折)は、コルセットや一定期間のスポーツ休止で“骨をくっつける”治療が標準になることがあります。これは整形外科の管理事項です。本記事は、診断・急性期治療を受けたうえで「再発を防ぎ、競技を続ける体づくり」を扱います。
関連記事:ゴルフで脊柱管狭窄症は悪化する?歩くと足がしびれる人へ(同じ“反ると悪化”の仲間)
なぜゴルフで分離症・すべり症が起こる・悪化するのか
分離症は、「腰を反らす」+「ひねる」動きの反復で、後ろの支えに疲労骨折が起こります。
——これ、何かに似ていませんか。そう、ゴルフのスイングそのものです。
ゴルフは、トップで腰を反らせ、ダウンからフォロー・フィニッシュにかけて、腰を反らせながら強くひねる動きの連続です。1球、2球なら問題なくても、何百球と打ち込めば、後ろの支えに小さなストレスが積み重なります。 若い競技者の分離症がスポーツで多いのも、中高年で昔の分離が痛み出すのも、すべり症が進むのも、この「反り+ひねりの反復」が背景にあります。
腰は“被害者”——反らせている加害者は誰か

ここでも、腰は“被害者”です。腰を反らせ、ひねらせている“加害者”が別にいます。
① 股関節が回らない・硬い 股関節やお尻が硬いと骨盤が回りません。回りきれない分を、腰の反りとひねりで補おうとします。
② 胸椎が回らない・硬い 猫背や肩甲骨の硬さで胸椎(背中の真ん中)が回らないと、フィニッシュで上半身を起こすときに腰だけが過剰に反り、ねじれます。
つまり、上下の“よく動く役”(股関節・胸椎)がサボると、あいだの腰だけが過剰に反らされ・ねじられる。 そのストレスが、分離部やすべりのある椎骨に集中します。だから、腰だけを治療しても、加害者を放置すれば、振るたびにぶり返します。
関連記事:股関節が動かないと腰が反る——痛みの連鎖のメカニズム / ゴルフの“軸ブレ”の正体(股関節+腹圧+胸椎) / ゴルフで股関節に乗れない人の共通点|腰が反るのは間違った使い方
反らさないスイング・守る体づくり
では、どう続けるか。答えは、腰を反らす・ひねるのをやめ、股関節と胸椎を使って、腰は中間(まっすぐ)のまま振ることです。
ただし落とし穴があります。「腰を反るな・ひねるな」と言われても、股関節と胸椎が硬いままでは、できません。 これは技術(気持ち)ではなく、体の機能(可動性)の問題です。
守るスイングに必要な3つ
- 股関節に“乗れる”体にする——お尻ともも裏を使い、骨盤をしっかり回す。腰で反らずに済みます。
- 胸椎を回るようにする——固まった胸椎を動かし、フィニッシュで上半身を「腰の反り」でなく「胸の回旋」で受ける。
- 腹圧で腰を中間位に保つ——お腹を内側から張る力(天然のコルセット)で、腰を反らせず・ねじらせず、安定させる。
昔の指導でよく見た、腰を大きく反らせる「C字フィニッシュ」は、分離症・すべり症にとって最悪です。腰を立て、股関節と胸椎で受ける現代的なフィニッシュへ。これは痛みを防ぐだけでなく、力が逃げない、効率の良いスイングでもあります。
なぜ「骨格ポジション」と「腹圧」が先なのか

私たちが体を動かすとき、手足が動き出すより“先に”、お腹の奥の筋肉(腹横筋)が無意識に締まって背骨を守ります。 これをフィードフォワード(先行収縮)と呼びます。運動制御の研究では、腕を素早く動かす課題で、腰痛のない人はこの収縮が手足より先に働くのに、腰痛のある人は遅れることが報告されています〔3〕。
さらに、背骨・骨盤のアライメント(骨の並び)の崩れが、この先行収縮の遅れと関連することも報告されています〔4〕。腰が反りすぎない位置に収まって初めて、本来の筋肉が正しいタイミングで働きやすくなる。 これが当院の考え方です(運動や施術で、すべった骨そのものを元に戻すという意味ではありません)。腰が反ったままでは、いくら腹筋を鍛えても腰は守られません。だから当院は、鍛える前に、骨格ポジションから整え、腹圧で腰を中間位に保てる体をつくります。
避けたい動き・やっていい運動
慢性の腰痛全般に対しては、運動療法が痛みと生活機能を改善することが大規模なまとめ(コクラン・レビュー)で示されています〔2〕。分離症・すべり症では、病期・すべりの程度・神経の症状に応じて医師が個別に判断します。そのうえで運動の許可が出た方にとっては、「正しく動かす」ことが再発予防の本筋です。
⚠ 避けたい・要注意
- 腰の反り+ひねりを腰で受けるスイング(股関節・胸椎を使わない切り返し)
- 過度な伸展ストレッチ・反り返る体操(「腰を伸ばすと気持ちいい」反り癖)
- 痛みを我慢した打ち込み(被害者である腰をさらに削る)
- 腹圧が抜けたままの高負荷スクワット・デッドリフト
◎ やっていい・勧めたい
- 股関節の可動性を高める運動(お尻・股関節をやさしく動かす)
- 胸椎を回す運動(肩甲骨・背中の真ん中を動かす)
- 腰を反らせず支える体幹安定化(あおむけで膝・股関節90度から、腰を反らせずに腹圧を入れる)
- 屈曲〜中間位ベースの動き(狭窄症と同様、反らせない方向を基本に)
関連記事:ゴルフで椎間板ヘルニアは悪化する?続けられる? / 整体×パーソナルをワンストップで——東大阪の一貫アプローチ
【症例】手術2回・63歳の競技ゴルファー——反らさない体で復帰
具体的な例を一つ(個人が特定されない範囲で)。
63歳・男性。腰の手術を2回経験された競技ゴルファーの方です。腰を反らすと響き、痛みとしびれで「もう辞めなければ」と悩まれていました。
体を診ると、昔の怪我で肘・腕が伸びず→胸椎が回らず→その分を腰の反りとひねりで補正し、股関節に乗れていない——という連鎖。腰は“被害者”でした。
行ったのは、①肘・胸椎・股関節が動く状態にする→②腹圧で腰を反らせず中間に保つ→③反らさず股関節・胸椎で振る素振り→④段階的にコース復帰という順番です。腰の反りとひねりを、加害者である股関節・胸椎に“返した”のです。
結果、痛みとしびれが解消し、手術前より飛距離が伸び、ショットも安定。 競技に復帰されています。腰椎を固定する手術をされた方々も、同じアプローチで痛みを解消されています。分離症・すべり症や手術歴は、ゴルフを諦める理由になりません。
よくある質問(FAQ)
Q. 腰椎分離症・すべり症でも、ゴルフを続けていいですか? A. 画像で骨の安定性を、診察で神経の症状を医師が確認し、運動の許可が出た方は、段階的に続けられます。すべりが大きい・進んでいる・脚の力が落ちてきている場合は、ゴルフより治療が先です。続ける場合も、「反るスイング」のままだと悪化しやすいので、腰を反らさず股関節・胸椎で振る体に変えることが条件です。
Q. すぐに病院へ行くべきなのは、どんな時ですか? A. 脚の力が急に落ちる、両脚がしびれる、股の周りがしびれる、排尿や排便がしにくい。この場合は様子を見ず、すぐに救急を含めて受診してください。
Q. 分離症とすべり症は何が違いますか? A. 分離症は腰の骨の後ろ(関節突起間部)の疲労骨折、すべり症は骨が前にずれた状態です。分離が原因のすべりを分離すべり症、加齢変性によるものを変性すべり症と呼びます。
Q. なぜゴルフで悪化するのですか? A. 分離症・すべり症は「腰を反らす+ひねる」の反復で悪化します。ゴルフのスイングはまさにこの動き。股関節・胸椎が使えないと、その負担が腰に集中します。
Q. 「腰を反るな」と言われてもできません。 A. あなたのせいではありません。股関節と胸椎が硬いままでは、腰が代わりに反ってしまいます。技術の前に、体の可動性を取り戻す必要があります。
Q. 昔の分離症が、中高年でまた痛み出しました。どうすれば? A. まず整形外科で現状(すべりの進行など)を確認してください。そのうえで、加害者(股関節・胸椎)を整え、反らさない体に変えることで、痛みを抑えながらゴルフを続けられる方は多いです。
Q. すべり症は手術しかないのでしょうか? A. 程度によります。神経症状が強い場合は手術が必要なこともありますが、多くは保存療法(運動療法・体の使い方の改善)が第一選択です。慢性腰痛には運動療法が有効と示されています〔2〕。
Q. コルセットは必要ですか? A. 急性期や疲労骨折を癒合させたい時期には、医療管理のもとでコルセットを使うことがあります。ただしコルセットは“支え”であり、腰を反らせている根本(股関節・胸椎・腹圧)は変えません。最終的には自分の体で支えられるようにするのが本筋です。
Q. 遠方ですが診てもらえますか? A. 店舗は東大阪の近鉄布施駅の近くで、神戸・奈良・堺・京都からも来られています。通えない方には、オンラインでの対応もあります。
Q. 初回では、何をしてもらえますか? A. 初回体験は約80分・8,000円(税込)です。打つ前に体とスイングを検査して、腰に反りとひねりを押しつけている場所を決め、神経整体で関節が動く状態を作り、トレーニングで動きを入れ直す所まで、1回で行います。診断名や画像の結果が分かるものがあれば、お持ちください。
おわりに——分離症・すべり症は「反らさない体」で続けられる
腰椎分離症・すべり症でも、ゴルフは続けられます。大切なのは、
- まず急性期は整形外科の診断・医療管理を優先すること
- 分離症・すべり症は“反る+ひねる”で悪化——脊柱管狭窄症に近い「反らせない」配慮
- 腰は“被害者”。加害者は、回らない股関節と硬い胸椎。骨格ポジションを整え、腹圧で腰を中間位に保つ
この3つです。「分離症だから一生ダメ」ではありません。反らさない体に変えれば、痛みを防ぎながら、むしろ効率の良いスイングへと変わります。
「腰に肩代わりさせている場所」を特定したい方は、東大阪のメディカルゴルフMitzコンディショニングジムへ
打つ前に、まず体を診ます。腰に反りとひねりを押しつけているのが股関節か、胸椎か、お腹の圧かを検査で特定し、「整える→条件を作る→打って確かめる」の順で進めます。当院ではこの検査を「スイング人間ドック」と呼んでいます。急性期は、医療機関での診断と管理を優先してください。
- 初回体験:約80分・8,000円(税込)。検査(スイング人間ドック)+神経整体+ファンクショナルトレーニングを1回で行います。初回の担当はトレーナーの松兼です
- 場所:東大阪市長堂1-2-20 陣内ビル2F(近鉄布施駅の近く)。神戸・奈良・堺・京都からも来られています
- 遠方の方:オンラインに対応
- くわしく:スイング人間ドックとは/メニュー・料金
- ご予約・お問い合わせ:true-function.com(完全予約制)
参考文献
- Vleeming A, Schuenke MD, Masi AT, Carreiro JE, Danneels L, Willard FH. The sacroiliac joint: an overview of its anatomy, function and potential clinical implications. Journal of Anatomy. 2012;221(6):537-567. doi:10.1111/j.1469-7580.2012.01564.x (腰仙部・骨盤の荷重伝達と安定化の解剖)
- Hayden JA, Ellis J, Ogilvie R, Malmivaara A, van Tulder MW. Exercise therapy for chronic low back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2021;9:CD009790. doi:10.1002/14651858.CD009790.pub2 (運動療法は痛み・機能を改善)
- Hodges PW, Richardson CA. Inefficient muscular stabilization of the lumbar spine associated with low back pain. A motor control evaluation of transversus abdominis. Spine. 1996;21(22):2640-2650. (腰痛者は腹横筋の先行収縮が遅延する)
- Three-dimensional spinal and pelvic alignment as determinants of anticipatory core muscle activation. Journal of Clinical Medicine. 2025;14(23):8432. doi:10.3390/jcm14238432 (背骨・骨盤のアライメントの崩れが、体幹筋の先行収縮の遅延と関連する)
- Boyle M. Advances in Functional Training. On Target Publications; 2010. / Cook G. Movement: Functional Movement Systems. On Target Publications; 2010. (ジョイント・バイ・ジョイント・コンセプト)
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著者:鈴木密正(すずき みつまさ)。鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師(いずれも国家資格)。自身も腰椎椎間板ヘルニアで競技を断念した経験から、体の機能を先に整えるアプローチにたどり着く。PRI・DNS・ファンクショナルトレーニングを統合し、メディカルゴルフMitzコンディショニングジム(東大阪・布施)でゴルファーの体と動作を診ている。臨床歴20年以上。
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