ゴルフで股関節が痛い ─ 詰まり・鼠径部痛の正体と、腰・膝へ広がる「連鎖」を国家資格者が解説

スイングのたびに股関節の前が詰まる。フォロースルーで前の足(リード股関節)の付け根が痛い。深くしゃがむと鼠径部(そけいぶ)が引っかかる——ゴルフで股関節に不調を抱える方は、本当に多いです。しかもやっかいなのは、股関節の問題が腰痛や膝痛にまで連鎖すること。国家資格者(鍼灸・あん摩マッサージ指圧・柔道整復)が、その正体と抜け出し方を解説します。

30秒で結論

  • ゴルフの股関節痛の多くは、股関節が本来の回旋——特に前の足(リード股関節)の内旋(内側へのねじれ)——を失い、動きの逃げ場をなくして前側で衝突・詰まる状態です。
  • 股関節が回らないと、その分を腰と膝が“肩代わり”します。だから股関節痛は、しばしば腰痛・膝痛と連鎖して起こります。腰も膝も、多くは“被害者”です。
  • 実際、腰痛のあるゴルファーは、前の足の股関節の内旋が少ないことが研究で報告されています(Vad 2004Murray 2009)。股関節と腰は、それだけ深くつながっています。
  • 「レントゲンで異常なし」と言われても痛むのは、痛みの多くが動いている時(スイング中)の機能の問題で、静止画には写らないからです。
  • 火元は股関節の可動性(動く力)と安定性(支える力)。当院(東大阪 Mitz/true-function.com)は、評価 → 整える → 鍛えるを一貫して行い、股関節から腰・膝までの連鎖を断ちます。

この記事が答える質問

  • ゴルフの股関節痛には、どんなパターンがあるのか?
  • なぜスイングで股関節が痛む・詰まるのか?
  • 股関節痛が「腰痛」「膝痛」に連鎖するのはなぜか?
  • レントゲン異常なしなのに痛いのはなぜ?
  • どう改善していけばいいのか?

股関節痛の4つのパターン

ゴルフの股関節痛は、痛む場所でおおまかに分けられます。

  • 前側の“詰まり”(付け根の前):フォロースルーやトップで、股関節の前が挟まるように痛い。深くしゃがむと引っかかる。インピンジメント(衝突)様の状態。
  • 鼠径部(そけいぶ)痛:足の付け根の内側〜前が痛む。踏ん張りやねじりで出やすい。
  • 外側・お尻:立ち姿勢や切り返しでお尻の横〜外が痛い。中殿筋など“支える筋”がうまく働いていないサイン。
  • 後ろ・お尻の奥:坐骨神経痛と紛らわしいこともあります(→ゴルフと坐骨神経痛・梨状筋)。

どのパターンも、根っこは共通しています。股関節が本来の回旋をできず、動きの逃げ場を失っていることです。


なぜスイングで股関節が痛むのか

ゴルフのスイングは、左右の股関節が“非対称”に働く動きです。右打ちなら、バックスイングで右股関節が体を受け止め、ダウンスイング〜フォローで前の足(左=リード股関節)が内側へねじれながら(内旋)体重を受け、回転の軸になります。

このとき、リード股関節の内旋がしっかりできると、力は股関節でさばけます。ところが、内旋の可動性や、それを支える安定性が足りないと、股関節の前で骨と骨・組織が衝突(インピンジメント)して詰まったり、痛みが出たりします。

そして重要なのが、さばけなかった力は消えず、隣へ流れるということ。上(腰)へ流れれば腰痛、下(膝)へ流れれば膝痛。股関節は、痛みの“分岐点”なのです。

股関節が回らないと腰と膝が肩代わりする連鎖のイラスト。中央に回らない股関節、上に肩代わりして痛む腰、下にねじれて痛む膝。股関節が痛みの分岐点であることを示す。
図1:股関節が回らないと、その力は上(腰)と下(膝)へ流れる。股関節は痛みの“分岐点”。火元を整えないと、腰も膝も繰り返す。

股関節痛が「腰痛」「膝痛」に連鎖する理由

ここが、この記事でいちばん大切なところです。股関節が回らないと、上と下が肩代わりします。

上への連鎖=腰痛。 前の足の股関節が内旋できないと、回転を作るために腰椎(腰の骨)が余分にねじれて肩代わりします。実際、腰痛のあるゴルファーは前の足の股関節の内旋が少ないことが報告されています(Vad 2004Murray 2009)。プロのスイングでは腰椎に体重の約8倍の圧縮力がかかるとの報告もあり(Lindsay & Vandervoort 2014)、肩代わりし続けた腰が傷むのは当然です(→ゴルフの腰痛は整体で治る?)。

下への連鎖=膝痛。 股関節が回らないと、回転の不足を膝がねじれて補おうとします。膝は本来ねじれに弱い関節。ここに繰り返しねじれが加わると、内側の半月板や靭帯にストレスがかかります。「スイングで膝を痛めた」という方の多くは、実は股関節が回らずに膝が代償していた——というケースが少なくありません。

つまり、腰も膝も“被害者”で、火元は股関節であることがよくあるのです。腰だけ・膝だけを追いかけても戻るのは、このためです。


「レントゲン異常なし」でも股関節が痛むのはなぜか

整形外科で「骨に異常なし」と言われても痛む——これも多いご相談です。理由は、画像は“止まった構造”しか映さないから。股関節痛の多くは、動いている時(スイング中)の機能の問題で、静止画には写りません。

また、股関節の形の個性(いわゆるFAI形態など)は、痛みのない人にも一定の割合で見られます。つまり「形」だけで痛みは決まらず、その形をどう動かし、支えているかが問題なのです。だから「異常なし」は、“機能を診る番になった”合図。ここからが機能整体・機能トレの出番です(→ゴルフの腰痛は何科?)。

ただし、股関節の強い痛み・可動域の急な低下・体重をかけられない・発熱を伴うなどがある場合は、まず整形外科を受診してください。


おうちでできるセルフチェック

次の動きで、左右差や詰まり・痛みが出ないかを確認してみましょう(痛みが強い場合は無理をしないでください)。

チェック 見るポイント サイン
深くしゃがむ(かかとを浮かせず) 股関節の前が詰まる・鼠径部が引っかかる 股関節の可動性・内旋の不足
椅子に座り、片脚の足首を反対の膝へ(4の字) 左右で開き方が違う・前が痛い 股関節の外旋・内旋の左右差
片脚立ちで軽く腰を落とす 膝が内に入る・お尻の横で支えられない 中殿筋など“支える筋”が働いていない

左右差や詰まりがあれば、それがスイングで腰や膝へ連鎖する火種かもしれません。


改善の順番 ─ 診る・整える・鍛える

股関節痛は、火元(股関節の可動性・安定性)から順番に整えるのが近道です。

  1. 診る(評価):どの方向の動き(特に内旋)が足りず、どこが肩代わりしているかを、動作から特定します。
  2. 整える(施術):股関節が動くべき方向へ動けるようにし、眠っていた神経の反射を呼び覚まします。前の詰まりは「関節の位置」と「支える筋」で変わることが多いです。
  3. 鍛える(トレ):股関節で“さばける”体を、正しい動作として段階的に定着させます。ここまでやるから、腰・膝への連鎖も止まります。

当院(東大阪 Mitz/true-function.com)は、鍼灸・あん摩マッサージ指圧・柔道整復の3つの国家資格に機能解剖の体系(PRI/DNS/FTなど)を用いて、この3ステップを一人で一貫して行います。股関節から腰・膝までの連鎖を、まとめて診られるのが特長です。


よくある質問(FAQ)

Q. ゴルフのたびに股関節の前が詰まります。放っておいて大丈夫?
A. 「詰まり」は、股関節が本来の動きを失っているサインのことが多いです。放置すると腰や膝への連鎖につながることもあるため、早めに動きを評価することをおすすめします。ただし強い痛みや可動域の急な低下があれば、まず整形外科へ。

Q. 股関節が痛いのに、腰や膝も痛くなってきました。関係ありますか?
A. 大いにあります。股関節が回らない分を腰と膝が肩代わりするため、連鎖して起こることがよくあります。火元の股関節を整えると、腰・膝の負担も減ります。

Q. レントゲンで「異常なし」でした。整体で診てもらっていい?
A. はい。「異常なし」は構造に緊急の問題がないという意味で、機能(動き)を診る番になった合図です。動作を評価できる機能整体で、火元を整えていくのが次の一手です。

Q. ストレッチだけで治りますか?
A. 可動性は大切ですが、「動く」だけでなく「支える(安定性)」がそろわないと、スイングでは再び詰まります。ストレッチに加えて、支える力の再教育まで行うのが定着の近道です。

Q. 変形性股関節症と言われました。ゴルフは続けられますか?
A. 状態により異なります。医療機関の指示を前提に、負担のかかり方(代償)を整えることで、続けやすくなる方もいます(効果には個人差があります)。一度ご相談ください。


おわりに ─ 股関節は「痛みの分岐点」

ゴルフの股関節痛は、それ単体で終わりません。放っておくと、腰痛・膝痛へと連鎖していく“分岐点”です。だからこそ、股関節の詰まりや鼠径部痛を感じたら、早めに火元を診てもらうことが、腰も膝も守る近道になります。

「股関節が詰まる」「付け根が痛い」「気づけば腰も膝も」——そんな方は、一度、股関節の“動き”を評価するところから始めてください。

ご相談・ご来院

  • Mitz BestPerformance(東大阪/近鉄沿線)/true-function.com
  • 動作評価から施術・段階的トレーニングまで、国家資格者(鍼灸・あん摩マッサージ指圧・柔道整復)が一貫して担当します。
  • 東大阪・八尾・今里・鶴橋/寝屋川・尼崎/堺・泉北/奈良/神戸ほか広域から来院いただいています。遠方の方はオンライン相談も可能です。

※ 本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療を保証するものではありません。症状には個人差があります。強い痛み・体重をかけられない・発熱などがある場合は、まず医療機関を受診してください。


参考文献

  1. Vad VB, et al. Low back pain in professional golfers: the role of associated hip and low back range-of-motion deficits. Am J Sports Med. 2004. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14977679/
  2. Murray E, et al. The relationship between hip rotation range of movement and low back pain prevalence in amateur golfers: an observational study. Phys Ther Sport. 2009. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19897166/
  3. Lindsay DM, Vandervoort AA. Golf-Related Low Back Pain: A Review of Causative Factors and Prevention Strategies. PMC4335481. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4335481/

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