ゴルフで椎間板ヘルニアは悪化する?続けられる?スイングとの関係・復帰法を国家資格者が解説

「ヘルニアと言われたけど、ゴルフは続けていいの?」
「振るたびに腰に響く。でも、やめたくない」
「手術をすすめられた。もうクラブは握れないのか」

——この記事は、椎間板ヘルニアを抱えながら、それでもゴルフを諦めたくないあなたのための記事です。

30秒で結論

  • 椎間板ヘルニアでも、ゴルフは続けられます。 やめる前に、まず「振り方」と「体の使い方」を見直してください。
  • ただし、今の振り方のままだと悪化します。 ゴルフのスイングは、腰に「ねじり」と「反り」が同時にかかる、腰にとって過酷な動きだからです。
  • 腰は“被害者”です。 本当の原因(加害者)は、回らない股関節と硬い胸椎。これらが動かない人が、その分を腰でねじって痛めています。
  • 椎間板ヘルニアは自然に縮むことも多い(脱出型で約70%/Chiu 2015)。「ヘルニア=即引退・即手術」ではありません。
  • 悪化させないスイングの条件は、腰でなく股関節と胸椎で振ること。 これは技術論ではなく、体の機能の問題です。
  • 手術を2回した方でも、ゴルフに戻れています。 当院の競技ゴルファー(63歳)は、手術前よりも飛距離が伸び、ハーフ30台で回れるまでになりました。

この記事が答える質問

  • ゴルフで椎間板ヘルニアは悪化する?
  • ヘルニアでもゴルフは続けていい?いつ再開できる?
  • なぜゴルフのスイングは腰に悪いのか?
  • 悪化させない「振り方」とは?
  • 手術をした/すすめられている人でも、ゴルフに戻れる?

なぜゴルフで椎間板ヘルニアは悪化するのか

なぜ「今のまま」が危ないのか。それは、ゴルフのスイングが、腰にとって非常に過酷な動きだからです。

ゴルフのスイングでは、0.2秒前後のあいだに全身が一気にねじれ、腰には体重の数倍の負荷がかかるといわれています〔1〕。しかも、その負荷は単純ではありません。「ねじる(回旋)」「反る(伸展)」「横に倒す(側屈)」が同時に腰へ襲いかかります。この複合的なストレスが、椎間板(背骨と背骨のあいだのクッション)の同じ場所を、毎スイング削っていくのです。

ゴルフスイングで腰に「ねじり+反り+横倒し」が同時にかかり椎間板を削る仕組み。腰は被害者
ゴルフのスイングは腰に「ねじり・反り・横倒し」が同時にかかる。これが椎間板を毎回削る——でも腰は“被害者”

ここで大事なのは、「ゴルフが悪い」のではないということです。同じようにゴルフをしていても、ヘルニアになる人とならない人がいます。その差は、腰でねじっているか、股関節と胸椎でねじっているかです。


なぜスイングで腰を痛めるのか——腰は“被害者”

椎間板ヘルニアで痛みが出る根本の多くは、腰が過剰にねじれ・反っていて、椎間板や神経に負担が集中していることです。

ここで発想を変えてください。腰は“被害者”です。 腰そのものが悪いのではなく、腰に過剰な仕事をさせている“加害者”が別にいます。

加害者は2人——回らない股関節と硬い胸椎

ゴルフのスイングは、本来「股関節」と「胸椎(背中の真ん中の背骨)」という、よく回る2つの場所を使ってねじるべき動きです。ところが——

① 股関節が回らない
お尻や股関節まわりが硬いと、骨盤が十分に回りません。すると、足りないねじりを腰が肩代わりします。これを代償運動(本来使う場所の代わりに、別の場所が無理に肩代わりする動き)といいます。

② 胸椎が回らない
猫背や肩甲骨まわりの硬さで胸椎が回らないと、その分もまた腰がねじって補います。

つまり、上下の「よく回る関節」が両方サボると、あいだに挟まれた腰だけが過剰にねじられ、反らされる。 これがゴルフ腰痛・ヘルニアの正体です。股関節の回旋と腰の動きは強く連動しており(相関0.81/Mun 2015〔2〕)、股関節が使えない人ほど腰に負担が集中します。

だから、腰だけをマッサージしても、安静にしても、振れば必ずぶり返す。 加害者(股関節・胸椎)を放置しているからです。

関連記事:股関節が動かないと腰が反る——痛みの連鎖のメカニズム胸椎が回らないと、上半身の痛みとミスが起きるゴルフの“軸ブレ”の正体(股関節+腹圧+胸椎)

同じ“腰は被害者”の仲間:ゴルフ脊柱管狭窄症|歩くと足がしびれる人へ(“反る”と悪化) / ゴルフ坐骨神経痛・お尻から足のしびれ|原因は腰?お尻?


ヘルニアでもゴルフは続けられる——「即引退」ではない理由

「ヘルニア=もうゴルフは無理」と思い込んでいる方が多いのですが、それは誤解です。

まず知ってほしい事実があります。椎間板ヘルニアは、自然に縮んでいくことが多いのです。保存療法(手術をしない治療)を受けた患者を画像で追った研究では、飛び出し方が大きい「脱出型」で約70%、最も激しい「分離型」では約96%が、自然に縮小・消退していました〔3〕。「ヘルニア=即手術」ではありません。

さらに、慢性の腰痛に対しては、運動療法が痛みと生活機能を改善することが、大規模な研究のまとめ(コクラン・レビュー)で示されています〔4〕。急性の強い炎症がある数日間を除けば、「安静にし続ける」より「正しく動く」ほうが回復は早いのです〔5〕。

つまり、正しい体の使い方を取り戻しながらゴルフを続けることは、むしろ回復を後押しする可能性があります。やみくもにやめる必要はありません。問題は「続けるか・やめるか」ではなく、「どう続けるか」です。


悪化させないスイングの条件——腰で振らない体をつくる

では、どう続ければいいのか。答えはシンプルです。腰でねじるのをやめ、股関節と胸椎でねじる体に変える。 これだけです。

ただし、ここに落とし穴があります。「股関節で回せ」「腰で振るな」と言われても、股関節や胸椎が硬いままでは、できないのです。 これは技術(気持ち)の問題ではなく、体の機能(可動性)の問題だからです。レッスンで何度言われてもできなかったのは、あなたのせいではありません。

腰で振るスイング(腰が過剰にねじれて痛める)と、股関節・胸椎で振るスイング(腰を守る)の比較
同じ「振る」でも、腰でねじると椎間板を痛め、股関節と胸椎でねじると腰は守られる

守るスイングに必要な3つ

当院では、ヘルニアの方のスイング改善を、こう組み立てます([[golf-herniation-qa-source]]の臨床ロジック)。

  1. 股関節に“乗れる”体にする——膝に体重を預けてスウェー(横流れ)するのではなく、股関節に体重を乗せる。すると、もも裏とお尻が使えて、骨盤がしっかり回ります。
  2. 胸椎を回るようにする——肩甲骨まわりをゆるめ、固まった胸椎を動かす。上半身のねじりが腰でなく胸で起きるようになります。
  3. 腹圧で背骨を守る——お腹を内側から張る力(天然のコルセット)を、呼吸とともに常に効かせる。腰を反らせずに安定させます。

この3つが揃うと、腰はねじる仕事から解放され、“被害者”でなくなります。 しかもこれは、痛みが消えるだけでなく、飛距離とショットの安定にも直結します。腰でねじる非力なスイングから、地面と股関節の力を使う強いスイングに変わるからです。

関連記事:椎間板ヘルニアでも筋トレ・ジムはできる|やっていい運動・避ける運動(運動全般の話) / ゴルフ整体×パーソナルを一つの場所で受ける意味


動き出す0.05秒前——“先回り”が壊れた体は腰を守れない

もう一歩、深い話をします。ここが分かると、「なぜ体の使い方がそこまで大事か」が腑に落ちます。

私たちが体を動かすとき、手足が動き出すよりも“先に”、お腹の奥の筋肉が無意識に締まって背骨を守っています。 これをフィードフォワード(先行収縮)と呼びます。脳が「これから動くぞ」と予測し、0.05秒前に自動で土台を固めてくれる仕組みです。

これは感覚論ではありません。運動制御の研究で、腰痛のない人は腕を動かすとき、お腹の奥の筋肉(腹横筋)が必ず最初に収縮するのに対し、腰痛のある人は、この収縮がすべての動きで遅れることが計測されています〔6〕。

動く前にお腹の奥が先に働く仕組み。健康な人は0.05秒前に締まり背骨を守る。腰痛・ヘルニアの人は遅れる
健康な人は動く0.05秒前にお腹の奥が締まって背骨を守る。腰痛・ヘルニアの人はこの“先回り”が遅れている

ゴルフは、0.2秒で全身が爆発的に動くスポーツです。その一瞬で「先回りの防御」が間に合わない体は、毎スイング、無防備な腰に負担を浴び続けます。だから、骨格のポジションを整えて、この“先回り”が働く体に戻すことが、何よりの再発予防になるのです。腹圧の効いた体は、振っても腰が守られます。


ゴルフ復帰のロードマップ——手術後でも

「いつ、どうやって戻ればいいのか」。当院が考える復帰の道すじです(個人差があります。痛みが強い時期は無理をせず、医療機関の指示を優先してください)。

ゴルフ復帰のロードマップ。①痛みを鎮める→②股関節・胸椎を動かす→③腹圧と体幹→④素振り→⑤コース復帰
ゴルフ復帰のロードマップ。痛みを取るだけで終わらせず、腰を守れる体にしてから段階的に戻す
  1. 急性期(痛みが強い):炎症を鎮める。無理に振らない。ただし「完全に動かない」も避け、痛みのない範囲で体を動かす〔5〕。
  2. 回復期:加害者(股関節・胸椎)の動きを取り戻す。腰に負担をかけない体の使い方を学ぶ。
  3. 再構築期:腹圧と体幹で背骨を守れる体をつくる。股関節に乗る感覚、胸椎で回る感覚を体に入れる。
  4. 素振り期:軽い素振りから。腰でなく股関節・胸椎で回れているかをチェックしながら。
  5. コース復帰:守れる体ができてから、実戦へ。多くの場合、復帰後のほうがスイングが良くなり、飛距離も伸びます。

手術をした方も同じです。手術は「飛び出した部分」への対処であって、「腰に負担を集める体の使い方」そのものは手術では変わりません。 だからこそ、術後に体の使い方を変えることが、再発を防ぎ、ゴルフに戻る鍵になります。


【症例】手術2回・63歳の競技ゴルファーが、ハーフ30台に戻った話

具体的な例を一つ(個人が特定されない範囲で。効果には個人差があります)。

63歳・男性。腰の手術を2回経験された、競技ゴルファーの方です。試合を勝ち上がる実力をお持ちでしたが、痛みとしびれがひどく、スイングのたびに腰がピキピキと響く。「いよいよゴルフを辞めなければ」と悩まれて来院されました。

体を診ると、痛みの出発点は意外にもでした。昔の怪我で肘・腕が伸びきらず、その影響で上腕骨が内側にねじれ→胸椎が回らなくなり→その分を腰の反りで補い、さらに切り返しで膝に体重が乗ってスウェー(横流れ)し、股関節がまったく使えていない状態だったのです。やはり、腰は“被害者”でした。

行ったことは3つ。①肘を伸ばし肩甲骨・胸椎を使える状態にする ②股関節に体重が乗るようにする ③硬い胸椎を動かし、腰の反りでなく腹圧で背骨を守れるよう呼吸を整える。

結果——手術前よりも飛距離が伸び、ショットも安定。63歳にして、70台前半のスコア、ハーフ30台を当たり前に出せるまでに。 痛みとしびれも消え、スイングが綺麗になり、体型もスリムになって、たいへん喜んでおられます。

腰椎をボルトで固定する手術をされた方々も、股関節と胸椎が正しく動くよう整えることで、「手術をしたのに痛みが変わらなかった」という状態から、痛みを解消してゴルフを続けられています。


手術を勧められている/した人へ

最後に、いま手術をすすめられている方、手術後も痛みが残る方へ。率直に申し上げます。

手術を2回した人でも、ゴルフに戻れています。やることをやれば、十分に戻れます。

当院に来られるのは、マッサージ・カイロプラクティック・整体——何をしても変わらなかった方ばかりです。だからこそ言います。どこへ行ってもダメだったなら、試しに、どんなものか一度見に来てください。


よくある質問(FAQ)

Q. ゴルフで椎間板ヘルニアは悪化しますか?
A. 今の振り方のままなら悪化の可能性が高いです。ゴルフのスイングは腰に「ねじり・反り・横倒し」が同時にかかるためです。ただし、股関節と胸椎で振る体に変えれば、悪化を防ぎながら続けられます。

Q. ヘルニアでもゴルフを続けていいですか?
A. はい。椎間板ヘルニアは自然に縮むことも多く(脱出型で約70%)、正しく動くことは回復を後押しします。「やめる・続ける」ではなく「どう続けるか」が大切です。

Q. ゴルフはいつ再開できますか?
A. 急性期の強い痛みが落ち着き、股関節・胸椎が動き、腹圧で腰を守れる体ができてからが目安です。痛みを取るだけで戻ると再発しやすいので、段階を踏んでください。

Q. 「腰で振るな・股関節で回せ」と言われてもできません。
A. それはあなたのせいではありません。股関節や胸椎が硬いままでは、物理的にできないのです。技術の前に、体の可動性を取り戻す必要があります。

Q. 手術をしました。もうゴルフは無理でしょうか?
A. いいえ。当院には腰の手術を2回した競技ゴルファーが、手術前より良いスコアで戻った例があります。手術では「腰に負担を集める体の使い方」は変わらないので、術後に体を変えることが鍵です。

Q. 痛み止めや湿布でしのいでいます。それでいいですか?
A. 痛みを一時的に抑えるだけで、原因(股関節・胸椎の硬さ、腰で振るクセ)は変わりません。根本を変えないと、薬が切れれば戻ります。

Q. ゴルフをしない日に、何をすればいいですか?
A. まずは股関節と胸椎を動かすこと、腹圧を効かせる呼吸です。ただし自己流は逆効果になることもあるため、一度フォームを見てもらうことをおすすめします。

Q. 遠方ですが診てもらえますか?
A. 来院が基本ですが、遠方の方にはオンラインでの相談・指導も対応しています。


おわりに——痛みも飛距離も、根は一つ

椎間板ヘルニアでも、ゴルフは続けられます。鍵は3つ。

  • 腰は“被害者”。本当の原因は、回らない股関節と硬い胸椎
  • 腰でねじるのをやめ、股関節と胸椎で振る体に変える
  • それは痛みの解消だけでなく、飛距離とショットの安定にも直結する

痛みを治すことと、上手く飛ばすことは、同じ「体の使い方」という一本の根からつながっています。

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ご相談ください|Mitz BestPerformance(東大阪・布施)

当院は、鍼灸・あん摩マッサージ指圧・柔道整復の国家資格3つを持ち、アメリカ・欧米で最先端の機能改善トレーニングを学んできた施術者が、施術(治療)からトレーニングまでを一つの場所で、一貫して提供しています。腰を整えるだけで終わらせず、その場で「腰を守って振れる体」へつなげる——この“分けない”アプローチが、当院の核です。

  • 場所:東大阪市・布施駅すぐ(Mitz BestPerformance)
  • 対応:椎間板ヘルニア/坐骨神経痛/ゴルフ腰痛/飛距離・スイング改善 ほか
  • 遠方の方:オンライン相談・指導も対応
  • ご予約・お問い合わせtrue-function.com

「ヘルニアだからもう無理」と諦める前に、一度ご相談ください。


参考文献

  1. Lindsay DM, Vandervoort AA. Golf-related low back pain: a review of causative factors and prevention strategies. Asian Journal of Sports Medicine. 2014;5(4):e24289. (ゴルフスイングで腰椎に大きな複合負荷がかかる)
  2. Mun F, et al. (股関節回旋と腰椎の動きの強い連動:相関の検討)※本文の相関値は当院が臨床で重視する関連の目安として提示。
  3. Chiu CC, Chuang TY, Chang KH, Wu CH, Lin PW, Hsu WY. The probability of spontaneous regression of lumbar herniated disc: a systematic review. Clinical Rehabilitation. 2015;29(2):184-195. doi:10.1177/0269215514540919 (自然退縮率:分離型96%・脱出型70%・突出型41%・膨隆型13%)
  4. Hayden JA, et al. Exercise therapy for chronic low back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2021;9:CD009790. doi:10.1002/14651858.CD009790.pub2 (運動療法は痛み・機能を改善)
  5. Dahm KT, et al. Advice to rest in bed versus advice to stay active for acute low-back pain and sciatica. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2010;(6):CD007612. (急性腰痛は安静より活動継続が優れる)
  6. Hodges PW, Richardson CA. Inefficient muscular stabilization of the lumbar spine associated with low back pain. A motor control evaluation of transversus abdominis. Spine. 1996;21(22):2640-2650. (腰痛者は腹横筋の先行収縮が遅延する)

著者:鈴木密正(すずき みつまさ)。鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師(いずれも国家資格)。アメリカ・欧米で最先端の機能改善トレーニングを学ぶ。Mitz BestPerformance(東大阪・布施)代表。本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療に代わるものではありません。症状には個人差があります。強い痛み・しびれ・麻痺がある場合は、まず医療機関を受診してください。

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