ゴルフの腰痛でレントゲン異常なし──画像に写らない本当の原因を国家資格者が解説

ゴルフの腰痛でレントゲン異常なし──画像に写らない本当の原因を国家資格者が解説

画像では異常なしと言われた。でも、ラウンドの翌日は確実に痛い。気のせいだと思いかけていませんか。——それは気のせいではありません。レントゲンやMRIが写すのは骨や椎間板のであって、痛みの多くを占める動き方の問題は、そもそも画像に写らないからです。この記事では、なぜ写らないのか、ゴルフの腰痛の火元がどこにあるのか、そして「異常なし」と言われた人が次に取るべき手順を、国家資格者(鍼灸・あん摩マッサージ指圧・柔道整復)が機能解剖の視点で解説します。

30秒で結論

  • 「異常なし」は「原因がない」ではありません。「構造(骨・椎間板の形)には原因がなかった」という意味です。医師は正しい仕事をしています。
  • レントゲン・MRIが写すのは止まった構造。痛みの多くを占める機能——どの関節が動き、どの関節がサボり、どこが肩代わりしているか——は、そもそも画像に写りません
  • ゴルフの腰痛の火元は、多くが股関節と胸椎(背中の骨)。ここが回らない分を、ほとんど回れない腰椎(腰の骨)が肩代わりします。これが代償運動です。
  • 代償は動いてはじめて現れるもの。仰向けで数秒止まって撮る画像に出ないのは、当然のことです。
  • だから「異常なし」は、むしろ良い知らせ。手術が必要な構造の問題はなく、機能は今日から変えられるからです。
  • 次の一手は、もう一度画像を撮ることではなく、動作を評価すること。どの関節が仕事を放棄しているかを特定するところから始まります。

この記事が答える質問

  • なぜレントゲンやMRIで「異常なし」なのに、腰は痛いのか?
  • 画像に写る「構造」と、写らない「機能」は何がどう違うのか?
  • ゴルフの腰痛は、なぜ腰そのものが原因ではないのか?
  • 「朝は平気なのに、ラウンド後半で痛くなる」のはなぜか?
  • 「異常なし」と言われた後、次に何をすればいいのか?
  • すぐに医療機関へ行くべき危険なサインは?

「異常なし」は「原因がない」ではなく、「構造には原因がなかった」という意味です

まず、いちばん誤解されているところをほどきます。医師が「異常なし」と言ったとき、その言葉が指しているのは画像に写る範囲です。

具体的には、骨折していないか。椎間板が神経を押していないか。骨がずれていないか(すべり症・分離症)。まれな腫瘍や感染がないか。この除外作業は、画像診断ができる整形外科にしかできない重要な仕事です。

つまり、あなたは「原因不明」を宣告されたのではありません。手術や緊急処置が必要な原因は、きちんと否定されたのです。

問題はその先。画像で説明がつかない腰痛は、医学的に「非特異的腰痛」と呼ばれ、腰痛全体の大半を占めることが知られています。ありふれた状態であって、あなただけの例外ではありません。


レントゲンとMRIが写すのは「形」であって、「動き」ではありません

レントゲンもMRIも、止まっている体を一瞬だけ切り取った静止画です。写るのは、骨の形、椎間板の厚み、神経の通り道の広さ——すべて「形」の情報です。

一方で、腰痛の火元になりやすいのは「形」ではなく機能のほうです。機能とは、次の3つのことを指します。

どの関節が動き、どの関節が支えているか(分担)。筋肉と筋膜がなめらかに滑って動けているか(滑走性)。神経が、どの筋肉にどのタイミングで指令を出しているか(タイミング)。

この3つは、いずれも動いていなければ存在しない情報です。止まった写真に写らないのは、機械の性能不足ではなく、そもそも撮影対象が違うからです。

止まっている車のボディをいくら眺めても、エンジンの不調は分かりません。腰も同じで、動かして評価しない限り、その腰に何が起きているかは分かりません


ゴルフの腰痛の火元は、回らない股関節と胸椎。腰はその肩代わりをしています

ゴルフのスイングは、全身をねじる動作です。本来この「ねじれ」を担当するのは、股関節(骨盤ごと回る)と胸椎(みぞおちから上の背骨)の2か所です。

ところが、腰椎はほとんど回れません。骨の形がそういう作りになっていて、上下の骨がお互いに引っかかり、回旋を制限するようにできています。腰は「ねじる場所」ではなく「支える場所」なのです。

だから、股関節と胸椎が回らないと何が起きるか。回らない分を、回るのが苦手な腰椎が無理やり肩代わりします。これが代償運動です。

この関係は数字にも出ています。腰椎の回旋量と股関節の回旋量には強い相関が報告されており(r=0.81)、股関節が回らない人ほど、腰椎が余計に回っていることが示されています(Mun F, et al. 2015, PMC4430877)。

もう少し具体的に、どこがサボっているのかを名指しします。

股関節側は、切り返しで骨盤を回すために必要な内旋(太ももの骨が内側に回る動き)が出ていないケースが多い。お尻の横から後ろにかけての筋肉(中殿筋・小殿筋)が働かず、お尻の奥にある小さな回旋筋群(深層外旋六筋)が縮んだまま固まっていると、股関節は回るべき方向に回りません。

胸椎側は、肋骨の位置が崩れて胸郭が固まり、わきの下から背中に広がる筋肉(広背筋)が突っ張ることで回旋が止まります。トップで肩は回っているように見えて、実際は腰から下も一緒に回っているだけ、という状態です。

そして根本には骨格ポジションがあります。骨盤と肋骨(胸郭)が上下で正しく向き合った位置に揃っていないと、わき腹の筋肉(腹斜筋)が働けません。腹斜筋が働けなければ、上半身と下半身のねじれの差(捻転差)は作れず、腰が代わりにねじれるしかなくなります。

腰は加害者ではなく、被害者です。 この構図は代償運動:痛みは全身でつながっている股関節が伸びない→腰が反る:腰痛の連鎖でも詳しく解説しています。


腰が耐えているうちは、負担がどれだけ大きくても画像には出ません

ここが「異常なし」と言われる最大の理由です。負担が大きいことと、構造が壊れていることは、別の話だからです。

ゴルフのスイングで腰にかかる負担は、決して小さくありません。プロのスイングでは、腰椎に体重の約8倍にあたる圧縮力(約7,584N)がかかると報告されています(Lindsay DM, Vandervoort AA. 2014, PMC4335481)。

しかも、この負担の大きさは体幹をどう動かしたかによって変わります。スイング中の体幹の動き方と腰への負荷の関係は繰り返し研究されており、動作の質が負荷を左右することが示されています(Edwards N, et al. 2020, PMC9219256)。

つまり、同じ本数を打っても、股関節と胸椎が仕事をしている人と、腰に肩代わりさせている人とでは、腰にかかるものがまったく違うということです。

そしてこの差は、画像には出ません。骨は折れていないし、椎間板の形も変わっていない。ただ、関節・筋・靭帯が「限界の手前」で悲鳴を上げているだけだからです。痛みは、壊れる前の警告として出るものです。

ちなみに、ゴルフに関連する筋骨格系のトラブルは、系統的なレビューが行われるほどありふれています(Williamson E, et al. 2024, PubMed 38508702)。あなたの腰痛は、珍しい謎の症状ではありません。


「朝は平気なのにラウンド後半で痛い」——その痛み方こそ、機能の問題である証拠です

思い当たるものがないか、確認してみてください。

朝起きたときは平気なのに、ラウンドの後半で痛くなる。 素振りは平気なのに、ボールを打つと痛い。 短いクラブは平気なのに、ドライバーで痛い。 練習場のマットは平気なのに、傾斜のあるコースで痛い。

これらに共通しているのは、「痛みが状況によって出たり出なかったりする」という点です。

もし原因が骨の変形や椎間板そのものなら、条件でここまできれいにオン・オフが切り替わることは少ない。条件で変わるということは、原因が「動き方」の側にあるという強いヒントです。

疲れてくると、股関節と胸椎はさらに動かなくなります。だから後半に腰が肩代わりする量が増える。傾斜では股関節の要求が上がるから、そこで足りなくなる。すべて、機能の話として筋が通ります

「腰を回せ」というアドバイスを真面目に実行してしまい、回れない腰椎を無理に回して痛めた方も少なくありません(「腰を回せ」と言われて腰を痛めた人へ)。


だから「異常なし」は、むしろ良い知らせです

構造に問題がないということは、手術が必要な状態ではないということ。骨も椎間板も、あなたの体はまだ十分に持ちこたえているということです。

そして、機能は変えられます。変形してしまった骨を元に戻すことはできませんが、動かなくなった股関節の回旋、固まった胸椎、サボっているお尻の筋肉は、評価して介入すれば変わります

つまり「異常なし」は、いちばん手が打てる状態で見つかったということです。「気のせい」でも「年のせい」でもない。まだ誰も、あなたの体を動かした状態で診ていないだけです。


「異常なし」の次にやるべきは、画像ではなく「動作」の評価です

順番はシンプルです。3つのステップに分かれます。

第1に、動作を評価する。 立つ・しゃがむ・片脚で立つ・体をねじる、そしてスイングそのもの。どの関節が動かず、どこが肩代わりしているかを特定します。ここが火元の特定にあたります。

第2に、火元を整える。 動くべき関節(股関節・胸椎)の可動性を取り戻し、固まった筋膜の滑走性を回復させ、働いていなかった筋肉に神経の指令が届く状態を作ります。

第3に、正しい動きを覚え直して定着させる。 整えただけでは、体は慣れた動き方に戻ります。段階的なトレーニングで「使うべき筋肉を使う」動作パターンを体に染み込ませて、はじめて再発しない体になります

この順番を飛ばして、腰だけを揉む・電気を当てる・湿布を貼るを続けても戻るのは、火元がそのまま残っているからです。

自分でできる簡単な手がかりもあります。椅子に浅く座り、足を床につけたまま、片方の膝を内側に倒してみてください。左右で倒れる角度が明らかに違えば、股関節の内旋に差があるサインです。

もうひとつ。椅子に座って腕を胸の前で組み、骨盤を動かさずに上半身だけを左右にねじってみてください。左右差が大きい、あるいはどちらもほとんど回らないなら、胸椎の回旋が仕事をしていない可能性があります。


ただし、次の症状があるときは自己判断せず、先に医療機関へ

機能の問題として取り組む前に、必ず除外しておくべきサインがあります。1つでも当てはまるなら、動作の評価より医療機関の受診が先です。

危険なサイン 疑われること
脚のしびれ、足首や足指に力が入らない 神経が強く圧迫されている可能性
排尿・排便の異常(出にくい・漏れる) 緊急性の高い神経の障害
安静にしていても激しく痛む・夜間痛で眠れない 動作以外の原因(炎症・腫瘍・感染など)
発熱をともなう腰痛 感染の可能性
転倒・尻もちのあとの強い痛み 骨折の可能性
だんだん悪化している・体重が減ってきた 精密検査が必要なサイン

まだ画像を撮っていない方は、まず整形外科からです。どこへ行けばいいか迷っている方はゴルフの腰痛は何科?を、しびれが出ている方は腰や脚にしびれが出たら(ヘルニアと狭窄症の見分け)をご覧ください。

当院でも、こうした兆候がある方には医療機関の受診を最優先でご案内しています。 画像診断は整形外科、動作の評価は機能を診る側。役割が違うだけで、対立するものではありません。


診る・整える・鍛えるを、一人の専門家が通しで担当する理由

「異常なし」と言われた腰痛が行き場を失うのは、評価する人・施術する人・鍛える人がバラバラだからです。

動作を評価しても、それを整える手技がなければ変わりません。整えても、動きとして定着させるトレーニングがなければ戻ります。トレーニングだけを積んでも、火元の関節が動かないままなら、代償を強化するだけです。

当院(東大阪 Mitz BestPerformance)は、国家資格3つ(鍼灸・あん摩マッサージ指圧・柔道整復)に機能解剖の体系(TPI/PRI/DNS)を重ねて、関節(どこが動き、どこが支えるか)・筋肉(働くか、サボるか)・神経(指令を出すか、抜くか)という同じ土台で、痛みもスイングも一気通貫で評価します

だから「腰の痛みを取る」と「スイングを直す」が、別々の作業になりません。火元が同じだからです(この考え方は整体とパーソナルトレーニングを同じ専門家が診る理由で詳しく書いています)。


よくある質問(FAQ)

Q. レントゲンで異常なしなのに痛いのは、精神的なものですか?
A. 違います。画像が写すのは骨や椎間板の「形」であり、痛みの多くを占める「動き方の問題」は最初から画像の対象外です。写らなかっただけで、存在しないわけではありません。

Q. MRIも撮りましたが、やはり異常なしでした。もう一度撮るべき?
A. 危険なサイン(しびれ・脱力・排尿排便の異常・発熱・安静時痛)がないなら、同じものをもう一度撮っても、同じ結果になる可能性が高いです。次は画像ではなく、動作の評価に進むほうが有効です。

Q. なぜ腰が痛いのに、股関節や背中を診るのですか?
A. スイングのねじれを本来担当するのは股関節と胸椎で、腰椎はほとんど回れない構造だからです。回れない腰が回っているとき、必ずどこかが仕事を放棄しています。 そこが火元です。

Q. 「異常なし」の状態でゴルフを続けても大丈夫ですか?
A. 危険なサインがなければ、続けながら改善に取り組めます。ただし、代償運動を残したまま球数を増やすと、腰にかかる負担も積み上がります。並行して火元に手を打つことをおすすめします。

Q. どのくらいで変わりますか?
A. 股関節や胸椎の動きやすさは、その日のうちに変化を感じる方も多くいます。ただし動作として定着するまでには、体の状態や練習頻度によって個人差があります。だからこそ、整えて終わりにせず、鍛えて定着させるところまで通して行います。


おわりに

あなたの腰は、壊れていません。ただ、股関節と胸椎が休んでいる分を、ずっと肩代わりし続けているだけです。そしてそれは、画像ではなく動作を診れば見えるものです。

揉んでも湿布でも戻る、病院では異常なしと言われる、それでもスイングのたびに痛い——その堂々巡りを止める入口は、一度、動いている状態の体を診てもらうことです。

ゴルフの腰痛・スイングのお悩みは、東大阪 Mitz BestPerformance へ

国家資格者(鍼灸・あん摩マッサージ指圧・柔道整復)が、機能解剖にもとづいて「診る→整える→鍛える」を一貫して行います。
東大阪・八尾・今里・鶴橋/寝屋川・尼崎/堺・泉北/奈良・神戸方面ほか、広く来院いただいています。

  • 所在地:大阪府東大阪市長堂1-2-20 陣内ビル2F(近鉄「布施」駅から徒歩)
  • TEL:06-7161-4593
  • 営業時間:10時〜20時(日曜・祝日定休)

▶ ご予約・詳細は true-function.com をご覧ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療の代わりになるものではありません。症状には個人差があります。しびれ・脚の脱力など神経症状がある場合は、まず医療機関を受診してください。


参考文献

  1. Mun F, et al. The relationship between lumbar and hip rotation. 2015. PMC4430877. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4430877/
  2. Lindsay DM, Vandervoort AA. Golf-Related Low Back Pain: A Review of Causative Factors and Prevention Strategies. 2014. PMC4335481. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4335481/
  3. Edwards N, et al. Trunk Kinematics and Low Back Loading During the Golf Swing. 2020. PMC9219256. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9219256/
  4. Williamson E, et al. Prevalence of Golf-Related Musculoskeletal Injuries. 2024. PubMed 38508702. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38508702/

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