ゴルフレッスンで腰・肘・手首が痛くなる人へ|練習量ではなく体の使い方が火元です

レッスンに、半年、あるいは数年通った。コーチの言うことは真面目に聞いてきた。それなのに、スコアは頭打ち。上達している実感がない。

それどころか、通い始めてから腰が痛い。肘が痛い。練習した翌日は身体が重い。「これ、本当に意味があるのか?」——そう思って検索窓に「ゴルフ レッスン 意味ない」と打ち込んだ方も、少なくないはずです。

先に、いちばん大事なことをお伝えします。レッスンが意味ないのではありません。 レッスンは技術のプロです。問題は別のところ——「言われた通りに動ける身体」という前提が、崩れていることにあります。

30秒で結論

  • レッスンプロは技術のプロであり、その指導自体は正しいことがほとんどです。「意味ない」のではなく、指導を実行できる身体の状態になっていないのが本当の問題です。
  • レッスンは「言われた通りに動ける身体」を前提に組み立てられています。その前提が崩れている人には、正しい指導ほど、代償運動(別の場所での肩代わり)を引き起こし、痛みとミスを増やしてしまうことがあります。
  • 痛みと上達停滞を同時に生む「火元」は、多くの場合この3つに集約されます。①グリップの力の入れ方「良い姿勢」の勘違い「股関節に乗れ」「もっと捻転」の意識づけ。いずれも指導語そのものは正しいのに、機能が抜けた身体では腰が反り、痛みとミスに化けます。
  • さらに、飛距離アップのトレーニングやストレッチが、かえって身体を崩す4つの罠もあります。良かれと思ってやったことで、自分でスイングを壊してしまうループです。
  • 抜け出す順番は、まず身体の機能を整え、それからレッスンに戻ること。この順番にすると、同じコーチの同じ言葉が「できる」ようになり、レッスンの吸収率そのものが変わります。

この記事が答える質問

  • ゴルフレッスンに通っても上達しないのは、なぜか?
  • レッスンに通い始めてから、腰や肘が痛くなったのはなぜか?
  • コーチの指導は正しいはずなのに、うまくいかないのはどういう仕組みか?
  • トレーニングやストレッチで、かえって調子を崩すことがあるのはなぜか?
  • レッスンを辞めるべきか、それとも続けるべきか。どうすればいいのか?

「レッスンが意味ない」のではありません──身体が指導を実行できる状態にないのです

まず、この記事はレッスンやコーチを否定する記事ではありません。むしろ逆です。

レッスンプロは、スイングの技術を教えるプロフェッショナルです。「フェースの向き」「体重移動」「捻転」——伝えている内容は、上達に必要な正しい要素であることがほとんどです。

ところが、その指導には大前提があります。それは、「言われた通りに、身体が動けること」です。

コーチが「右股関節に体重を乗せて」と言うとき、その言葉は「股関節がちゃんと動き、そこに乗れる身体」を前提にしています。「姿勢を良くして」と言うとき、それは「胸の背骨(胸椎)が回り、背中の筋肉が働く身体」を前提にしています。

問題は、その前提が崩れている人が、非常に多いということです。

股関節が硬くて使えない。胸椎が固まって回らない。お腹の力(腹圧)が抜けている。この状態のまま「正しい指導」を受けると、何が起こるか。身体は、足りない機能を別の場所で肩代わりして、なんとか言われた形を作ろうとします。 これを、機能解剖の言葉で代償運動と呼びます。

そして、その肩代わりのしわ寄せが集まる代表的な場所が——腰と肘なのです。

だから、こういう構図になります。

  • 指導は正しい
  • でも、それを実行できる身体の機能が抜けている
  • 結果、身体は代償でごまかす
  • そのごまかしが、痛みとミスショットになって表に出る
正しい指導が分かれる二又の図

「正しい指導ほど、逆効果になる」という、一見おかしな現象。その正体は、コーチの問題でも、あなたの努力不足でもありません。身体側の“機能の抜け”です。ここを見ずに練習量だけ増やすと、痛みだけが積み上がっていきます。

なぜ正しい指導ほど痛みとミスを増やすのか──「火元トップ3」

では、具体的にどんな指導が、機能の抜けた身体でどう化けるのか。臨床で繰り返し出会う「火元」を、3つに絞ってお伝えします。

大前提として、これらの指導語そのものは間違っていません。間違っているのではなく、「機能が整っていない身体で実行すると、腰が反る方向に力が働いてしまう」という共通点があるのです。

火元①──グリップの力の入れ方。親指側に力むと、腰が勝手に反る

意外に思われるかもしれませんが、痛みの火元がグリップにある方は珍しくありません。

本来、クラブは手のひらの小指側で安定させて握るのが理にかなっています。ところが、力の入れどころがずれて、親指側に力を込めて握るクセがつくと、そこから連鎖が始まります。

  • 親指側に力むと、前腕の屈筋群(手首を曲げる筋肉)が過剰に緊張します。
  • その緊張は腕から胴体へとつながり、胸椎(胸の背骨)の動きを邪魔します
  • 胸椎が動きにくくなると、身体は代わりに肋骨を持ち上げて上半身を起こそうとします。
  • 肋骨が上がると、お腹の力が抜けて、骨盤が前に傾き、腰が反ります
グリップの力みから腰痛への因果連鎖図

つまり、握り方ひとつで、自分の腰を反らせて腰痛を作っているということが、実際に起こるのです。指先の小さなクセが、身体の一番深いところ(腰)にまで届いてしまう。これが連鎖で身体を診るということの一例です。

火元②──「姿勢を良く」の勘違い。胸椎が硬いまま腰で反ると腰痛になる

「もっと姿勢を良くして」。ゴルフに限らず、日常でも言われ続けてきた言葉かもしれません。この意識が染みついている方ほど、注意が必要です。

本来、「良い姿勢」で背筋が伸びるのは、胸椎(胸の背骨)がしなやかに働き、背中の筋肉が支えているからです。ところが、胸椎が固まっていて、背中の筋肉もうまく使えない人が「姿勢を良くしよう」とすると、どうなるか。

動かない胸椎の代わりに、腰を反らせて“良い姿勢風”を作るのです。見た目は胸を張った立派な構えでも、その正体は腰の反りすぎ。この状態でスイングすれば、負担は当然、反った腰に集中します。

「姿勢を意識したら、かえって腰が痛くなった」。これは矛盾ではありません。動くべき場所(胸椎)が動かないまま、動いてはいけない量まで動いた場所(腰)が、悲鳴を上げているだけなのです。

火元③──「右股関節に乗れ」「もっと捻転」。腰が反ったまま動くと、痛みと振り遅れが同時に来る

これも、指導としては王道です。「右股関節に体重を乗せて」「もっと捻転を深く」。飛距離を伸ばすうえで、どちらも正しい。

ただし、これも股関節がちゃんと動く身体が前提です。股関節が硬く、腰が反ったままの状態で「右股関節に乗れ乗れ」と言われると、こうなります。

  • 腰が反ったまま体重を乗せにいくと、股関節の受け皿にきれいにハマらず、股関節の前が挟み込まれます(股関節インピンジメント)。ここで、股関節の付け根の痛みが生まれます。
  • さらに「もっと捻転」と言われると、回らない胸椎の代わりに腰椎がさらに過剰に反ってねじれます。腰への負担は二重、三重になります。
  • そのうえ、身体が回りきらないので振り遅れ、フェースが開いてドスライス。飛距離も方向性も崩れます。

腰痛と、ドスライスが、同じ根っこから同時に出てくる。 これが、機能の抜けた身体で「乗れ・捻れ」を頑張った人に起こる、典型的な自爆パターンです。

この「右股関節に乗れ」で身体を痛めた方の、より詳しい仕組みと対処は、「股関節に乗れ」で腰を痛めた人へで掘り下げています。「腰を回せ」という指導で痛めた場合は、「腰を回せ」で腰を痛めた人へをあわせてご覧ください。

トレーニングやストレッチで“自爆”する4つの罠

「レッスンだけじゃダメだ。身体も鍛えよう」。そう思って始めたトレーニングやストレッチが、かえって身体を崩しているケースも、非常に多いのが実情です。良かれと思った努力が裏目に出る。この「罠」を4つ、簡潔にお伝えします。

  • 飛距離トレの罠:いきなりバーベルを担ぐような重いトレーニングをすると、「やった感」はあります。ですが、股関節を使えない人がやると、太ももの前や膝に重心が乗り、もも前ばかりが張ります。関節の機能と運動の連鎖を、自分の手で崩してしまう。結果、身体が回らず、腰を反らせてねじるクセが強まり、腰痛や肘の痛みにつながります。実際に、飛距離アップのトレーニングを始めてから腰と肘を痛めて来院される方がいます。
  • ストレッチ・ヨガの罠:太ももの前を伸ばそうとして、いつのまにか腰を反らせるストレッチになっている。伸ばしたいところが伸びず、反ってはいけない腰が反る。これも自爆です。
  • 体幹トレ・ピラティスの罠:「胸を起こして姿勢良く」を意識するあまり、肋骨を上げて、腹圧が抜けるポジションを自分で作ってしまう。お腹が締まって見えても、いざ動くと力が抜けて、腰に負担が乗ります。
  • 結果としての自爆ループ:これらが重なると、スイングは崩れ、スコアも上がらず、痛みだけが残る。「頑張っているのに悪くなる」の正体は、この罠の掛け算です。
4つの罠が腰の反りに収束する図

共通しているのは、すべて「腰を反らせる」「腹圧を抜く」方向に力が働いているという点です。土台の機能が抜けたまま量を足すと、抜けを埋めるどころか、抜けを固定してしまうのです。

あなたはどれに当てはまる?──「レッスンが噛み合っていない」セルフチェック

次のうち、思い当たるものがあれば、指導と身体の機能が噛み合っていないサインかもしれません。

  • コーチに同じことを何度も言われるのに、3ヶ月経っても直らない動きがある。
  • 特定の指導(右股関節に乗る、捻転を深く、姿勢を正す等)を意識した後から、腰や肘が痛くなった。
  • 練習量は増やしているのに、スコアはむしろ横ばい、または悪化している。
  • 頭では言われた形が分かっているのに、身体がその形にならない。「不器用」で片付けられてきた。
  • マッサージや整体で一時的に軽くなっても、ラウンドや練習をすると、すぐ元に戻る

とくに最後の項目——揉んでも数日で戻る、というループには、身体側の連動の問題が隠れていることが多いものです。なぜ揉むだけでは戻ってしまうのか、その仕組みは接骨院に通っても治らない本当の理由で解説しています。

いくつも当てはまるなら、足りないのは「もっと練習」でも「もっと根性」でもありません。指導を実行できる身体の機能を、先に整えることです。

順番が逆だった──「身体を整えてからレッスンに戻る」と吸収が変わる

ここまで読んでいただくと、答えは見えてきます。やる順番が、逆だったのです。

多くの方が、「機能の抜けた身体のまま、レッスンで技術を上乗せしよう」としています。しかし、土台が傾いた家に、立派な二階を建てようとしても、傾きは増すばかりです。

だから当院がおすすめするのは、この順番です。

  1. まず、身体の機能を整える。 股関節が動く、胸椎が回る、腹圧が入る、腰が過剰に反らない——「指導を実行できる身体」を先に作ります。
  2. それから、レッスンに戻る。 土台が整った状態でコーチの言葉を受けると、「言われた通りに動ける」ようになります。同じ指導が、初めて“効く”ようになるのです。

この順番にした方から、「今まで何年も言われ続けたことが、急にできるようになった」という声をいただくことは、珍しくありません。レッスンの吸収率そのものが変わるからです。

当院では、この「整える」を、機能解剖にもとづいて一貫して行います。

  • 診る:静止した身体だけでなく、実際に動いた中で、どの部位がサボり、どこが肩代わりしているか(代償運動)まで評価し、火元を特定します。
  • 整える:鍼灸・あん摩マッサージ指圧・柔道整復の手技で、動きを止めている緊張や、骨格ポジションのズレをリセットします。
  • 鍛える:呼吸と腹圧で土台を立て、股関節や胸椎の連動を再学習します。整えた状態を「自分の力で使える」ところまで持っていきます。

大切なのは、レッスンを辞める必要はないということです。むしろ、身体が整えばレッスンはもっと活きます。当院とレッスンは、奪い合う関係ではありません。技術を教わる場所と、それを実行できる身体を作る場所——役割が違う、車の両輪です。

股関節と腰の関係は、研究でも裏づけられています。股関節の回旋と腰椎の回旋には強い相関があり、股関節が回らないほど、腰がその分を肩代わりして動くことが報告されています(Mun ほか, 2015)。だからこそ、腰の痛みを消したいなら、腰ではなく、その上流にある股関節の機能から整える必要があるのです。

よくある質問(FAQ)

Q. 結局、ゴルフレッスンは意味ないのですか?

A. いいえ、意味はあります。レッスンは技術を教えるプロです。ただし「言われた通りに動ける身体」が前提です。その前提が崩れていると、正しい指導でも代償運動が起きて、痛みやミスにつながることがあります。「意味ない」のではなく、実行できる身体を先に整える必要がある、というのが正確な理解です。

Q. レッスンに通い始めてから腰(肘)が痛くなりました。レッスンのせいですか?

A. コーチの指導が悪いというより、指導を実行するための身体機能が抜けているサインです。股関節や胸椎が動かないまま形を作ろうとして、腰や肘が肩代わりしている状態が考えられます。痛みが続く場合は、練習量を増やす前に、身体の連動を評価することをおすすめします。

Q. レッスンは辞めた方がいいですか?

A. 辞める必要はありません。むしろ、身体の機能を整えてからレッスンに戻ると、同じ指導が「できる」ようになり、吸収率が上がります。当院はレッスンと競合するものではなく、レッスンを活かすための土台を作る場所だとお考えください。

Q. コーチに何度言われても直らない動きがあります。不器用なだけでしょうか?

A. 不器用さより、身体側の機能の抜けが背景にあることが多いです。たとえば股関節が硬ければ、「股関節に乗る」動きは、意識だけでは再現できません。動ける身体を先に作ると、あっさりできるようになることは少なくありません。

Q. 飛距離アップのトレーニングを始めたら、かえって腰と肘が痛くなりました。

A. よくあるケースです。股関節を使えない状態で重いトレーニングをすると、太ももの前や膝に重心が乗り、腰を反らせてねじるクセが強まります。トレーニング自体が悪いのではなく、順番と、身体の機能状態に合っていないことが原因です。まず機能を整えることをおすすめします。

Q. 痛みはないのですが、上達だけが止まっています。相談していいですか?

A. もちろんです。上達の頭打ちも、多くは身体の連動の問題です。痛みが出る前に整えておくほうが、変化は早く出ます。予防とパフォーマンス目的で来られる方も多くいらっしゃいます。

おわりに

「ゴルフ レッスン 意味ない」。そう検索したあなたは、真面目に通い、真剣に練習してきた方だと思います。だからこそ、上達しない現実と、増えていく痛みに、納得がいかないのではないでしょうか。

繰り返しますが、レッスンは意味がないのではありません。 そして、あなたの努力が足りないのでもありません。ただ、「言われた通りに動ける身体」という前提が抜け落ちたまま、正しい指導を受け続けていた——それだけのことです。

グリップの力み、姿勢の勘違い、「乗れ・捻れ」の意識づけ。どれも、機能の抜けた身体では腰を反らせ、痛みとミスに化けます。良かれと思ったトレーニングやストレッチも、同じ一点に負担を集めていきます。

抜け出す道は、順番を変えることです。まず身体を整え、それからレッスンに戻る。 そうすれば、同じコーチの同じ言葉が、初めて身体に届くようになります。効果には個人差がありますが、「何年も言われたことが、急にできた」という変化は、順番を正すことから始まります。

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国家資格者(鍼灸・あん摩マッサージ指圧・柔道整復)が、機能解剖にもとづいて「診る→整える→鍛える」を一貫して行います。静止した部位だけでなく、実際に動いた中での全身の連動まで評価し、あなたの痛みとミスの火元を特定します。レッスンを辞める必要はありません。レッスンを活かすための身体を、一緒に作ります。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療の代わりになるものではありません。症状には個人差があります。しびれ・脚の脱力など神経症状がある場合は、まず医療機関を受診してください。

参考文献

  1. Mun F, et al. Kinematic relationship between rotation of lumbar spine and hip joints during golf swing in professional golfers. Biomed Eng Online. 2015. PMC4430877.(股関節と腰椎の回旋の相関 r=0.81)
  2. Lindsay DM, Vandervoort AA. Golf-related low back pain: a review of causative factors and prevention strategies. Asian J Sports Med. 2014. PMC4335481.

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