女性がゴルフで股関節を痛めやすい本当の理由 ─ 骨盤の形と「内旋ストレス」の罠【メディカルゴルフ】

「同じレッスンを受けているのに、周りの男性は平気で、自分だけ股関節(脚の付け根)が痛い」
「ラウンドの後、左の股関節の前や鼠径部(そけいぶ)が詰まるように痛む」
「『股関節に乗れ』『もっと回せ』と言われた通りにしたら、かえって痛くなった」

─ こうした相談を、当院(東大阪のMitz BestPerformance)では女性ゴルファーから本当に多くいただきます。

先にお伝えします。あなたが股関節を痛めやすいのは、非力だからでも、努力が足りないからでもありません女性の身体の構造が、ゴルフスイングの「ある負担」を股関節に集めやすいだけ。理由がわかれば、防げます。


30秒で結論

  • 女性は、横に広い骨盤・大きいQ角(太ももの傾き)・関節のやわらかさという構造的な特徴を持つ人が多い。
  • この構造により、スイング中にリード股関節(右打ちなら左)の「内旋(内側へのねじれ)」にストレスが集中しやすい。研究では、女性ゴルファーのリード股関節は動きの中で内旋が大きく働くことが示されている(Gulgin et al. 2010)。
  • しかもスイング中のリード股関節の内旋スピードは非常に速い(約-227.8度/秒Gulgin et al. 2009)。速い内旋が繰り返されると、股関節のふちの軟骨(関節唇)や前面・鼠径部に負担がかかる。
  • 股関節の「はさみ込み」型のトラブル(ピンサー型FAI)は、研究上女性に多い傾向(関節唇損傷例で約60%が女性/Kang et al. 2009)。
  • 「股関節に乗れ」「もっと回せ」は、内旋を受け止める準備ができていない身体で行うと、関節の縁に痛みを生む。
  • 防ぐ鍵は お尻(中殿筋・深層の外旋筋)の安定+腹圧で股関節を“はめる”骨格ポジション。ここが整って初めて、股関節は安全に回れる。
  • 「自分の股関節が痛む原因を知りたい」女性ゴルファーは、東大阪のMitz BestPerformance(true-function.comへ。遠方の方はオンライン評価も。

この記事が答える、よくある質問

  • なぜ女性ゴルファーは股関節を痛めやすいの?
  • 「股関節に乗れ」で痛くなるのはどうして?
  • 痛みを出さずに股関節を使うには、何を整えればいい?

はじめに ─ 「自分だけ痛い」のは、気のせいではない

レッスンの現場では、男女に同じ言葉でアドバイスが送られます。「股関節に乗って」「もっと腰(骨盤)を回して」。ところが、まったく同じ動きをしても、女性のほうが股関節にトラブルを抱えやすい傾向があります。これは根性論ではなく、骨格と関節の作りの違いから説明できます。

この記事では、その理由を 「抽象(なぜ女性が痛めやすいか)→ 具体(股関節に何が起きているか)→ 根本(何を整えれば防げるか)」 の順にほどいていきます。


第1章【抽象】─ 女性の身体は、股関節に負担が集まりやすい構造

① 横に広い骨盤と、大きいQ角

女性は出産に備えて骨盤が相対的に横へ広い作りの人が多く、その分、太ももの骨(大腿骨)が膝に向かって内側に角度をつけて降りてきます。この太ももの傾きを「Q角(キューかく)」と呼びます。Q角が大きいほど、立つ・回るといった動きで膝と股関節が内側に入りやすく(内旋しやすく)なります。

② 関節のやわらかさ(関節弛緩性)

女性はホルモンの影響もあり、関節がやわらかい(ゆるい)人が比較的多いとされます。柔らかさは長所でもありますが、「安定」が足りないと、関節が動きすぎて縁に当たる原因にもなります。やわらかい関節を支えるのは筋肉のコントロール。そこが働いていないと、可動域の広さがそのまま「痛み」に変わります。

③ 結果として「内旋ストレス」が股関節に集中する

横広の骨盤+大きいQ角+やわらかい関節。この3つが重なると、スイングの回転でリード股関節(右打ちなら左)が内側に深くねじれ(内旋し)やすくなります。次章で見るように、この内旋こそが股関節痛の引き金になります。

補足:ゴルフの傷害を調べた研究では、女性の傷害発生率(2.6/1000)が男性(1.4/1000)をやや上回る傾向が報告されています。ただし統計的にはっきりした差とまでは言えないともされており(Kuitunen & Ponkilainen 2024)、「女性は必ず怪我する」という意味ではありません。あくまで“傾向と構造”の話です。


第2章【具体】─ 股関節の「どこ」に「何」が起きているのか

速い内旋が、関節のふち(関節唇)に当たる

スイングのダウンからインパクトで、リード股関節は一気に内側へねじれます。女性ゴルファーを高速カメラで分析した研究では、リード股関節の内旋スピードが約-227.8度/秒に達し、反対側(トレイル股関節)の外旋より有意に速いことが示されています(Gulgin et al. 2009)。また、女性ゴルファーは動きの中でリード股関節の内旋が大きく働くことも報告されています(Gulgin et al. 2010)。

このスピードの速い内旋が毎スイング繰り返されると、股関節の受け皿のふちにある軟骨(関節唇=かんせつしん。関節を安定させるパッキンのような組織)に、こすれ・はさみ込みのストレスがかかります。

女性に多い「はさみ込み型(ピンサー型FAI)」

股関節のはさみ込み(FAI=大腿骨と骨盤がぶつかる現象)にはいくつかのタイプがありますが、骨盤側の覆いが深い「ピンサー型」は女性に多い傾向があり、関節唇損傷を起こした人の調査では約60%が女性だったと報告されています(Kang et al. 2009)。これが、「股関節の前・鼠径部が詰まる」「ズキッと引っかかる」といった女性ゴルファー特有の訴えにつながります。

「股関節に乗れ」「もっと回せ」が引き金になる理由

これらのアドバイス自体は正しいものです。しかし、内旋を受け止める準備(お尻の安定・骨格ポジション)ができていない身体で「乗る」「回す」を強くやると、コントロールされない内旋が関節の縁に集中し、痛みを生みます。指示が悪いのではなく、身体の条件が整っていないまま実行しているのが問題なのです。

💡 まとめると:女性が痛めやすいのは「構造的に内旋しやすい」+「速い内旋が関節唇に当たる」+「準備のないまま乗れ・回せを実行する」の3つが重なるから。


第3章【根本】─ 何を整えれば、痛めずに股関節を使えるのか

答えは「股関節を使わない」ことではありません。内旋ストレスを受け止められる“安定”を、股関節の周りに作ることです。順番が大切です。

ステップ1:呼吸で腹圧を立て、骨格ポジションを整える

骨盤と背骨の位置(骨格ポジション)が整うと、股関節は受け皿に正しく“はまり”ます。はまった股関節は、内旋しても縁に当たりにくい。逆に骨盤が前に倒れ過ぎている(反り腰)と、股関節前面が詰まりやすくなります。まずは息を吐ききって肋骨を締める呼吸から。

ステップ2:お尻(中殿筋・深層外旋筋)を働かせる

股関節の内旋をブレーキをかけてコントロールするのが、お尻の横の筋肉(中殿筋)と、股関節の奥にある外旋筋群です。ここが眠っていると、内旋が止まらず関節任せになります。片脚で骨盤を水平に保つ練習などで、「内旋を受け止めるお尻」を起こします。

ステップ3:股関節の内旋を“自分で操れる”状態にする

可動域を広げるだけでは不十分です。広い可動域をコントロールできることが、やわらかい関節を持つ女性にはとくに重要。ゆっくりした内旋・外旋の出し入れで、関節を縁に当てずに動かす感覚を育てます。

ステップ4:スイングへ統合する

土台(腹圧)→ 安定(お尻)→ 制御(内旋コントロール)が揃って初めて、「股関節に乗る」「回す」が痛みなく実行できます。骨格ポジションが整い、本来働くべき筋肉が働けて初めて、股関節は安全に回れる。ここを変えないと、何度ストレッチしても痛みは戻ってきます。


自宅でできる簡易セルフチェック(3つ)

痛みが強いときは無理をせず、目安として行ってください。

  1. 股関節の内旋チェック:椅子に座り、片足の足首を反対の膝に乗せ、上の膝を軽く下へ。左右で硬さ・詰まり感が大きく違う側は要注意。
  2. 片脚立ち:片脚で立ち、骨盤が横に落ちる・グラつく側は、お尻(中殿筋)の支えが弱いサイン。
  3. しゃがみ込み:かかとをつけて深くしゃがむ。股関節の前が詰まって深く沈めない場合、はさみ込み(FAI)傾向の手がかり。

よくある質問(FAQ)

Q. 女性は股関節が弱いということですか?
A. 弱いのではなく、構造的に内旋ストレスが集まりやすいということです。お尻の安定と骨格ポジションを整えれば、しっかり使えます。むしろ関節のやわらかさは、整えれば大きな武器になります。

Q. 股関節が痛いと、もうゴルフは続けられませんか?
A. 多くの場合、動きの再設計で続けられます。ただし、詰まり・引っかかり・夜間痛などが強い場合は、まず整形外科で関節唇やFAIの状態を確認してください。診断後の機能づくりは当院がサポートできます。

Q. 何科を受診すればいいですか?
A. 痛みや引っかかりが続く場合は整形外科(できれば股関節を専門に診るところ)へ。画像で関節唇やFAIを評価してもらえます。

Q. 東大阪まで通えませんが大丈夫ですか?
A. 当院は東大阪市(近鉄・布施駅近く)ですが、遠方の方にはオンラインでの機能評価・運動指導にも対応しています。お問い合わせください。


⚠️ ご注意(免責)

本記事は一般的な機能解剖・運動学の情報提供であり、診断・治療・特定の効果や治癒を保証するものではありません。症状には個人差があり、改善が期待できると報告されている内容もすべての方に当てはまるわけではありません。強い痛み・引っかかり・夜間痛などがある場合は、医療機関を受診してください。


まとめ

  • 女性が股関節を痛めやすいのは構造(横広の骨盤・大きいQ角・やわらかい関節)による
  • スイングでリード股関節に速い内旋ストレスが集中し、関節唇・鼠径部に負担
  • 「股関節に乗れ」「もっと回せ」は、準備のない身体で行うと痛みの引き金に
  • 防ぐ鍵は 腹圧→お尻の安定→内旋コントロール→スイング。骨格ポジションが整って初めて股関節は安全に回れる

なぜ当院か ─ 関節・筋肉・神経まで、スイングも痛みも一気通貫で診る

ゴルフの不調は、スイング理論だけでも、痛みだけの話でもありません。関節(どこが動き、どこが支えるか)・筋肉(どこが働き、どこがサボるか)・神経(どう力を入れ、どう抜くか)が一本につながって、初めて体は本来の働きを取り戻します。

当院(Mitz BestPerformance)は、スイング(パフォーマンス)と痛み(医療)の両方を、機能解剖という同じ土台から一気通貫で評価します。鍼灸・あん摩マッサージ指圧・柔道整復の国家資格3つに、PRI・DNS・FTを重ねているからこそ、「飛ばない」も「痛い」も別々ではなく同じ体の問題として診られます。スイングだけを見るレッスンや、痛みだけを見る一般的な整体・整形外科の「どれか一つ」では届きにくい領域です。


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東大阪の Mitz BestPerformancetrue-function.com)は、鍼灸・あん摩マッサージ指圧・柔道整復の国家資格3つと機能解剖(PRI/DNS)で、女性ゴルファーの股関節を「内旋を受け止められる身体」へ整え、痛みのないスイングへ再設計します。
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参考文献

  1. Gulgin et al. 2010(出典
  2. Gulgin et al. 2009(出典
  3. Kang et al. 2009(出典
  4. Kuitunen & Ponkilainen 2024(出典

執筆:鈴木密正(はり師・きゅう師/あん摩マッサージ指圧師/柔道整復師。Mitz BestPerformance代表、東大阪市)

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