「体重移動しろ」でスウェーになる人へ──体重が移ることと、力が伝わることは別の話です

「もっと体重移動を使え」「右に乗ってから左に移せ」。

言われた通り、右に乗せて、左に移している。動画で見ても、たしかに体は右から左へ動いている。

それなのに、飛距離が変わらない。むしろ当たりが薄くなった気さえする。

先にお伝えします。体重が横に移ることと、力がボールに伝わることは、別の話です。体重移動を「体を横にスライドさせること」だと理解した瞬間、体は軸を捨てて横へ流れます。これがスウェーです。本当に起きているのは移動ではなく、片脚で地面を押し返せているかどうかです。

30秒で結論

  • 「体重移動」を体を横にスライドさせることだと理解すると、軸が流れて(スウェー)逆に飛ばなくなります。体重計の数字は動いても、ボールに伝わる力は増えません。
  • 実際に起きているのは移動ではなく、片脚で地面を押し返せているかどうかです。飛距離を作っているのは横への移動量ではなく、床から返ってくる力(地面反力)の大きさと向きです。
  • 体重が右に「乗った」状態とは、右股関節の上に骨盤が収まっていることを指します。乗るのか流れるのかは、股関節がはまっているかどうかだけで決まります。
  • 切り返しは左へ「移る」のではありません。左足で地面を踏み、返ってきた力に乗るのが正体です。地面反力は意識ではなく反射なので、タイミングを頭で計ろうとするほど遅れます。
  • 押し返せない体には共通点があります。①足部が潰れている ②股関節が伸びない ③腹圧が抜けている。このどれかが欠けると、脳は「横に動かす」という方法しか選べなくなります。
  • だから「体重移動を意識しましょう」では変わりません。反射は意識より速いからです。条件が整っていない体にタイミングの指示を足しても、その指示は間に合いません。

この記事が答える質問

  • 体重移動をやっているのに飛ばないのはなぜですか?
  • 体重移動ができない原因はどこにありますか?
  • 体重移動とスウェーは何が違うのですか?
  • 「右に乗る」とは体のどこがどうなった状態ですか?
  • 体重移動のタイミングはいつが正解ですか?
  • 体重移動のコツを意識しても直らないのはなぜですか?
  • 家でできる体重移動のドリルはありますか?
  • ドリルは何が起きたら成功と判断すればいいですか?

はじめに ─ 「言われた通りに右へ乗せて、左へ移しているのに」

練習場で、こう言われた経験がある方は多いはずです。

「体重が右に乗っていない」「左に移すのが遅い」「もっと下半身を使え」。

そこで真面目な人ほど、右に乗せようとします。左に移そうとします。動画を撮れば、たしかに体は右から左へ動いています。指示は実行できている。

なのに、ヘッドスピードは上がらない。ボールは高く上がって失速する。ダフリとトップが交互に出る。

ここで多くの方が「移し方が下手なんだ」と結論づけて、移し方の練習をさらに増やします。しかし問題は移し方ではありません。「体重移動」という言葉を、体がどう解釈したかです。

臨床でゴルファーの体を評価していると、この解釈のずれは驚くほど共通しています。そして解釈がずれると、練習すればするほど飛ばない方向に固まっていきます

第1章【正体】体重移動は「移動」ではなく「押し返し」です

体重計の上で体を揺らしても、ボールは飛びません

まず、はっきりさせておきたいことがあります。

体重計を2台並べて、その上に立って左右に体を揺らせば、数字は簡単に動きます。右に80%、左に80%。数字だけ見れば、完璧な体重移動です。

でも、それでボールが飛ぶかというと、飛びません。

なぜか。体重の数字が動いたことと、床から力を受け取ったことは、まったく別の現象だからです。

ゴルフスイングで飛距離を生んでいるのは、横方向への移動量ではありません。足の裏を通じて床を押し、押した分だけ返ってくる力です。この返ってくる力を、私たちは地面反力と呼びます。切り返しからインパクトにかけて、上級者の足の裏には自分の体重を大きく超える力が発生していることが計測されています。

その力は、体を横に運ぶためではなく、体を回すため・伸び上がるために使われます。方向がまったく違うのです。

「横にスライドする」と解釈した瞬間、体は軸を捨てます

ここが常識の落とし穴です。

「体重移動」という言葉は、日本語として素直に読めば「重さを移す動作」です。だから体は、いちばん簡単な方法でそれを実行しようとします。

骨盤ごと、体を右へ平行移動させる。

これが最短で「体重が右に乗った」という感覚を作れる方法です。ところが、この瞬間に何が起きるか。

  • 軸(回転の中心)が右へずれる
  • ずれた軸を、切り返しで元に戻す作業が発生する
  • 戻しきる前にインパクトを迎えるので、体が右に残ったまま手で振ることになる

つまり、体重移動をしようとした結果、回転を邪魔しているわけです。「やっているのに飛ばない」の正体はここにあります。動作としては実行できている。ただし、飛距離につながらない実行の仕方をしている。

スウェーとの線引き

ここで、スウェーとの関係をはっきりさせておきます。

  • 乗る:右足の上に体重が預けられ、骨盤は右股関節の上に収まっている。頭と骨盤の位置関係は保たれる
  • 流れる(スウェー):骨盤が右足よりも外へ出ていく。体重は右足の外側に逃げ、股関節ではなく膝と腰で支える形になる

見分けるポイントは一つだけです。股関節がはまっているかどうか。

外から見た体の傾きや移動量は、この2つでほとんど変わりません。だから動画で見ても判別が難しく、「乗っている」と思い込んだままスウェーを続けている方が非常に多いのです。

なお、バックスイングで右腰が流れる現象そのものの成り立ちは、バックスイングで右腰が流れる人の股関節で詳しく扱っています。この記事では、乗ると流れるを分ける条件と、その先の「押し返し」に話を進めます。

第2章【機序】なぜ体は「横に動かす」しか選べなくなるのか

「乗る」とは、右股関節の上に骨盤が収まること

まず、「右に乗った」状態を解剖学的に言い直します。

大腿骨の先端(大腿骨頭)が、骨盤側の受け皿(寛骨臼)の中心に収まっている状態です。ボールとソケットが噛み合って、上からの重さをまっすぐ受けられる位置。これが「はまっている」です。

このとき体重は、骨で支えられます。骨で支えられるから、筋肉は次の仕事(回旋と押し返し)に使えます。

一方、はまっていないと何が起きるか。

大腿骨頭が受け皿の中心からずれるので、重さを骨で受けられません。すると体は、支えを外側に求めます。膝の外側と、腰の側面です。この状態で立つと、骨盤は右足の外へはみ出します。これがスウェーの中身です。

つまり、乗るか流れるかは、意識の強さでも移動距離でもなく、股関節が噛み合っているかどうかで決まっているわけです。

はめる仕事をしているのは、主に内転筋群(内ももの筋肉)と、お尻の奥にある深層の外旋筋です。この2つが働くと、大腿骨頭は受け皿の中心へ引き寄せられます。働かないと、外へ逃げます。

切り返しは「移る」のではなく「押した力に乗る」

次に、切り返しです。

多くの方が、切り返しを「右にある体重を左へ移す動作」だと考えています。しかし、実際に高い出力を出している人の体で起きているのは、こうです。

  1. 左足が地面に接地して、荷重が乗る
  2. 足首が背屈方向(すねが前へ倒れる方向)に押される
  3. アキレス腱とふくらはぎが引き伸ばされる
  4. 引き伸ばされた筋腱が縮み返す(伸張反射)
  5. その反力が股関節の伸展を引き出し、骨盤が勝手に左へ回る

体重を運んでいるのではありません。踏んだ結果、返ってきた力に乗っているのです。

ここが4つ目の原理、「地面反力は蹴るものではなく、反射で地面から反発をもらうもの」という話につながります。

だからタイミングは「計れない」のです

「体重移動のタイミングはいつですか」という質問を、非常によく受けます。

答えは、タイミングは計るものではない、です。理由は神経の速度にあります。

  • 筋肉が引き伸ばされてから反射で縮み返すまでの時間は、おおよそ0.03〜0.05秒
  • 一方、目や感覚で捉えてから意識的に体を動かすまでの時間は、早くても0.15〜0.2秒程度
  • そして、ダウンスイングそのものが0.2〜0.3秒で終わります

つまり、反射は意識より3〜5倍速く、しかもダウンスイング全体が意識的な修正1回分の時間しかないということです。

「切り返しで左に乗るタイミングを意識する」という指示は、物理的に間に合いません。意識した頃には、もうインパクトが終わっています。頭で計ろうとするほど動作が遅れ、体が右に残るのはこのためです。

押し返せない体に共通する3つの条件

では、なぜ反射が起きないのか。臨床で見ていくと、詰まっている場所はだいたい3つです。

① 足部が潰れている

何が起きているか:かかとの骨と距骨をつなぐ関節(距骨下関節)が内側へ倒れ込み、内側の縦アーチが落ちます。土踏まずが潰れた状態です。

なぜ押し返せないか:アーチはバネです。潰れたバネは縮み返しません。さらにアーチが落ちるとすねの骨が内側にねじれ、膝が内へ入り、股関節がはまる位置から外れます。土台が崩れているので、その上の関節は全部ずれます。

現れ方:母趾球(親指の付け根)で床を押せない/踏み込むと膝が内に入る/左足のかかとが早く浮く。

② 股関節が伸びない

何が起きているか:股関節の前側(腸腰筋)が縮んだ位置で固まり、後ろ側のお尻(大殿筋)が働きにくくなっています。

なぜ押し返せないか:床から返ってきた力は、股関節が伸びることで骨盤へ、そして体幹へと上がっていきます。股関節が伸びないと、力はそこで止まります。行き場をなくした力は、腰椎を反らせる方向に逃げます。踏んだのに骨盤が回らず、腰だけ反る。これが「飛ばないのに腰が痛い」典型です。

現れ方:フォローで左のお尻に力が入らない/インパクトで体が起き上がる/打った翌日に腰の反りが痛い。

③ 腹圧が抜けている

何が起きているか:横隔膜(胸とお腹の境の膜)と骨盤底(骨盤の底の膜)が上下に向き合っていない状態です。肋骨の前が開いて上を向き、骨盤が前へ倒れると、この2枚がずれて圧を閉じ込められなくなります。

なぜ押し返せないか:床から上がってきた力は、体幹という筒を通って腕とクラブに届きます。筒の中の圧が抜けていると、途中で潰れて伝わりません。ホースの途中を握っているのと同じです。

現れ方:下半身は動いているのに手打ちになる/トップで軸が保てない/息を吸うと胸だけが上がる。

(腹圧をアドレスでどう作るかはコリン・モリカワも実践する腹圧アドレスで扱っています。ここでは「抜けていると伝わらない」という点だけ押さえてください。)

脳は、できる方法しか選びません

この3つのどれかが欠けている体に「体重移動しろ」と指示を出すと、何が起きるか。

脳は、その時点で実行可能な方法を選びます。

押し返せないなら、押し返さない方法で「体重が移った状態」を作るしかありません。それが横へのスライドです。脳が怠けているのではなく、用意されている選択肢がそれしかないのです。

だから、「意識が足りない」という説明は成立しません。条件が揃っていないところに指示だけを足しても、体は同じ答えを返し続けます。

体重移動は「やること」ではなく、「できる体になったら勝手に起きること」です。だからドリルの目的は、移し方を覚えることではなく、移せる体の条件を揃えることにあります。

第3章【判別】自分がどれに当てはまるか

その場でできるチェックを3つ挙げます。クラブは要りません。

チェックA|「乗れているか」を壁で判別する

やり方:右側の壁から、こぶし1つ分(約10cm)離れて、壁と平行に立ちます。そこから右脚1本で立ち、10秒キープします。

判定
- 右のお尻の外側〜奥に張りを感じ、腰が壁に触れない → 股関節にはまっています
- 腰や骨盤が壁に当たる → 骨盤が右足より外へ出ています(=流れている)
- ふらついて足の指が床を掴む → 支えを足先で代用しています

左脚でも同じように行い、左右差を見てください。片方だけ壁に当たる方が非常に多いです。

チェックB|「押し返せるか」をホップで判別する

やり方:片脚立ちのまま、その場で小さくホップを10回。高さは5cmで十分です。

判定
- 音が静かで、リズムが一定 → 足のアーチがバネとして働いています
- 「ドスン」と着地音が大きい/回を追うごとに遅くなる → 反射で返せず、筋力で着地を止めています
- 膝が内へ入る/かかとが左右にぐらつく → 距骨下関節が安定していません

ここで音が大きい人は、スイングでも床を押し返せていません。

チェックC|「足裏の3点」を判別する

やり方:裸足で片脚立ちになり、母趾球(親指の付け根)・小趾球(小指の付け根)・かかとの3点に均等に体重を乗せます。

判定
- 3点すべてが床を感じられ、土踏まずの下に隙間がある → アーチが保てています
- 母趾球が浮く、または内くるぶしが内側へ落ちる → 足部が潰れています
- 小趾側にばかり乗る → 外へ逃げるパターンです

チェックAで壁に当たる人は、ほぼ例外なくチェックCでも母趾球が使えていません。足裏と股関節はつながっています。

第4章【手順】移せる体の条件を揃える3つのドリル

順番に意味があります。土台(足)→ 収まり(股関節)→ 押し返しに乗る(統合)の順で進めてください。逆にすると、崩れた土台の上で固めることになります。

ドリル1|100均ボールで足裏の3点を起こす

用意するもの:100円ショップのゴムボール(直径7〜9cm程度。硬めのものが扱いやすい)

やり方
1. 裸足で立ち、右足の裏でボールを踏みます
2. かかと → 土踏まずの外側 → 小趾球 → 母趾球の順に、ボールをゆっくり転がします(30秒)
3. 母趾球の下でボールを止め、体重の3割ほどを預けて10秒押します
4. ボールを外して両足で立ち、左右の足裏の感覚を比べます

何が起きたら成功か
ボールを転がした側の足だけ、床への接地面が広く感じられ、床が近く感じます。母趾球が「入っている」感覚が出れば正解です。左右で明らかに差が出るなら、それが今のあなたの土台の差です。左足も同じように行ってください。

ドリル2|2Lペットボトルで右股関節に骨盤を収める

用意するもの:2Lのペットボトル(中身入り。500mlでも可ですが、2Lのほうが挟む感覚が出ます)

やり方
1. 両膝を軽く曲げて立ち、ペットボトルを内ももで挟みます
2. 挟んだまま、体重を8割ほど右足へ預けます。このとき体を横へ動かすのではなく、右のお尻を後ろ下へ落とすイメージで
3. 内ももでペットボトルを潰す力を保ったまま、10秒キープ
4. 元に戻し、左側でも同じように行います。左右5回ずつ

注意:頭を右へ動かさないでください。頭の位置は動かさず、右のお尻だけが後ろ下へ沈む形です。

何が起きたら成功か
右のお尻の外側から奥にかけて、じわっとした張りが出ます。 腰や太ももの前ではなく、お尻に出れば正解です。この張りが出ている状態が「股関節がはまっている」感覚です。そのまま第3章のチェックAをやると、壁に腰が当たらなくなっているはずです。

ドリル3|クラブ1本で「返ってきた力に乗る」

用意するもの:クラブ1本(アイアンでもドライバーでも可)

やり方
1. クラブを両肩の後ろに担ぎ、両手を軽く添えます
2. 足を肩幅に開いて立ち、右足に体重を8割乗せます(ドリル2の感覚のまま)
3. そこから、左足で床を「踏む」だけ。左へ体を運ぼうとしない、骨盤を回そうとしない
4. 踏んだ結果、骨盤が勝手に左を向くのを待ちます
5. 10回繰り返します

ここが一番大事です:3の段階で、回そうとしないでください。回そうとした瞬間、この練習は意味を失います。やることは「踏む」だけです。

何が起きたら成功か
- 踏んだ瞬間に、骨盤が自分の意思より先に左を向きます
- 左のお尻に力が入ります(太ももの前でも腰でもなく、お尻)
- 上半身が、遅れて自然についてきます

「勝手に回った」という感覚が出たら、それが地面反力に乗るということです。この感覚が出た日に、はじめて「体重移動できていなかった」の意味が体で分かります。

3つを通してやる目安

1回あたり5〜8分。練習場へ行く日の朝と、ラウンド前に入れるのが最も効率的です。ドリル1と2は毎日やっても問題ありません。ドリル3は、ドリル1・2をやった直後に行ってください。土台と収まりが整っていない状態でドリル3だけをやると、また横へスライドする形に戻ります。

第5章【注意】やってはいけないこと・痛みが出る場合

やってはいけないこと

1. 頭を右へ動かして「乗った」ことにする

いちばん多い失敗です。頭が右へ動けば体重計の数字は動きますが、それはスウェーを練習しているのと同じです。頭は動かさず、お尻が沈む形を守ってください。

2. 左の壁を作ろうとして、左膝を突っ張る

「左サイドで受け止める」という指導を、左膝を伸ばして固めることだと解釈すると、膝の内側と腰に負担が集中します。受け止めるのは膝ではなく、左股関節と足裏です。

3. 「強く蹴る」と解釈する

地面反力は反射です。意識して強く蹴ると、かえって反射が消えます。力んだ足首は伸張反射を起こしません。踏むのであって、蹴るのではありません。

4. ボールを打ちながら覚えようとする

ボールがあると、必ず「当てる」ことが優先されます。当てるための代償が出るので、条件を作る練習にはなりません。ドリルは素振りか、その場でのステップだけで行ってください。

痛みが出る場合

ドリル中に以下が出たら、その場で中止してください。

  • 右腰の一点を指させる鋭い痛み(面ではなく点で痛む)
  • お尻から太もも裏、ふくらはぎへ走るしびれ
  • 左膝の内側の痛み(半月板や内側側副靭帯の負担が疑われます)
  • 足裏のかかと内側の刺すような痛み(足底腱膜への負担)

すぐに医療機関を受診していただきたいサイン

以下は体の条件づくりの話ではありません。その日のうちに医療機関へ

  • 両脚に力が入らない、両脚のしびれ
  • 尿が出にくい、または漏れる(排尿・排便の異常)
  • 股の間(会陰部)の感覚が鈍い
  • 安静にしていても強くなる痛み、発熱を伴う痛み

診断は医療機関の役割です。当院は診断を行いません。器質的な問題がないことを確認したうえで、機能の側から診るのが私たちの担当範囲です。

なぜ、当院(メディカルゴルフ)なのか

打つ前に、診る。

当院がスイングを触る前に必ず行うのが、スイング人間ドックです。動画によるフォーム分析と、身体機能の評価を組み合わせて、「今のあなたの体で、どの動きが実行可能で、どの動きが実行不可能なのか」を先に確定させます。

飛ばない、曲がる、痛い。この3つは別々の問題に見えて、全部同じ代償運動から出ています。だから、動きの指示を増やすのではなく、代償を出させている条件のほうを外します。

体重移動でいえば、見るのはこの順番です。

  1. 足部が床を受けられるか(距骨下関節、内側縦アーチ、母趾球の荷重)
  2. 股関節が受け皿に収まるか(内転筋群と深層外旋筋の働き、左右差)
  3. 股関節が伸びるか(腸腰筋の長さ、大殿筋が働くか)
  4. 腹圧が閉じるか(横隔膜と骨盤底の向き合い、呼吸と肋骨の動き)
  5. 床から上がった力が、どこで途切れるか(連動の評価)

そのうえで、整える → 使えるようにする → 定着させるまで一気通貫で設計します。骨格のポジションを評価して整え、眠っていた内転筋や骨盤底、横隔膜を働かせ、機能的トレーニングでスイングの中に落とし込む。ここまでやって、はじめて「勝手に体重が移る体」になります。

これを担当するのは、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の国家資格3種を持ち、臨床20年の施術者です。腰痛・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・五十肩・ゴルフ肘といった問題を抱えたままの方でも、医療的なリスクを管理しながら進められます。レッスンプロには制度上できない領域であり、一般的な整体院にはスイングの評価軸がありません。その両方を1人が持っていることが、当院の立ち位置です。

遠方の方には、撮影いただいた動画と簡易セルフチェックをもとにしたオンラインでの機能分析にも対応しています。ただし、床の受け方や股関節の噛み合いは、手で触れないと確定しない情報です。可能であれば一度お越しください。

よくある質問(FAQ)

体重移動は右7:左3など、割合の正解はありますか?

割合を目標にしないでください。 数字は、股関節が収まって床を押せた結果として出てくるものです。割合を先に作りにいくと、体は横へのスライドでその数字を作ります。同じ「右8割」でも、股関節に収まった8割と、外へ流れた8割では、次に出る力がまったく違います。

体重移動のタイミングはいつが正解ですか?

タイミングは計るものではありません。 床を踏んでから反射が返るまでは0.03〜0.05秒、意識して動かすには0.15秒以上かかり、ダウンスイング自体が0.2〜0.3秒で終わります。意識では間に合わない領域です。左足が着いたら勝手に返ってくる、という状態を作るのが答えになります。

体重移動とスウェーの違いは何ですか?

股関節がはまっているかどうか、この一点です。 骨盤が右股関節の真上に収まっていれば「乗る」、右足より外へはみ出していれば「流れる(スウェー)」。外から見た移動量ではほぼ判別できません。この記事の第3章チェックAが、その場でできる見分け方です。

体重移動ができているか、自分で確かめる方法はありますか?

壁から10cm離れて右脚1本で立ち、腰が壁に当たらなければ収まっています。当たれば流れています。もう一つは片脚ホップ10回で、着地音が静かなら床を押し返せています。この2つで、今日の自分の状態が分かります。

ドリルはどれくらい続ければ変わりますか?

足裏と股関節の反応は、その日のうちに変わる方がほとんどです。ドリル2の直後にチェックAをやると、壁に当たらなくなるのがその場で分かります。ただしスイングの中で自動的に出るようになるまでは、動作としての再学習が要ります。初回の評価で、どこまでを条件づくりで済ませ、どこから動作練習に入るかの見通しをお伝えします。

練習場でボールを打ちながら覚えられますか?

おすすめしません。 ボールがあると当てることが最優先になり、体は必ず代償で辻褄を合わせます。条件を作る段階では、素振りかその場のステップだけで行ってください。条件が入ってからボールに戻ると、同じ球数でも中身が変わります。

体重移動を意識しなくても、本当に飛びますか?

飛びます。というより、意識しないほうが飛びます。地面反力は反射で返ってくるものなので、意識が入るとタイミングが遅れ、返ってきた力に乗り遅れます。当院に来られる方の多くが、条件が揃った日に「何も考えていないのに勝手に体が回った」と言われます。

体重移動を練習してから腰が痛いのですが、関係ありますか?

関係があります。股関節が伸びない状態で床を押すと、行き場のない力が腰椎を反らせる方向に逃げます。腰の反りで痛みが出るのはこのパターンです。腰を治すのではなく、股関節を伸ばせる状態にすることが先になります。痛みが強い場合や、しびれを伴う場合は先に医療機関を受診してください。

店舗はどこですか?予約はどうすればいいですか?

東大阪Mitz BestPerformance(近鉄布施駅すぐ)です。大阪府東大阪市長堂1-2-20 陣内ビル2F。ご予約は true-function.com のお問い合わせフォーム、またはお電話(06-7161-4593)で承ります。大阪市内のほか、奈良・堺・神戸からも来院されています。


おわりに

「体重移動しろ」と言われて、真面目にやってきた方ほど、この記事の内容は悔しく感じられるかもしれません。やってきたことが、飛ばない方向の練習だったかもしれないからです。

ただ、見方を変えてください。指示を実行できていたのです。実行できる人は、条件さえ揃えば一気に変わります。

体重が右に乗るのは、右股関節に骨盤が収まったときです。左へ移るのは、左足で床を踏んで力が返ってきたときです。どちらも、やろうとして起こすものではなく、条件が揃ったときに勝手に起こるものです。

だから練習すべきは、移し方ではありません。移せる体の条件です。足裏が床を受けられるか。股関節が収まるか。股関節が伸びるか。腹圧が閉じるか。ここが揃った瞬間、体重移動は課題ではなくなります。

まずは今日、壁から10cm離れて右脚1本で立ってみてください。腰が壁に当たるかどうか。そこが、あなたの体重移動の出発点です。

ご相談ください

身体のスイング機能を改善したい方は、東大阪の Mitz BestPerformance(メディカルゴルフラボ)までどうぞ。

  • 所在地:大阪府東大阪市長堂1-2-20 陣内ビル2F(近鉄布施駅すぐ)
  • 電話:06-7161-4593
  • 対応:スイング人間ドック(動画フォーム分析×身体機能評価)、飛距離・方向性の機能改善、腰痛・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・五十肩・ゴルフ肘
  • 来院エリア:東大阪・大阪市内のほか、奈良・堺・神戸など府外からも来院されています
  • 遠方の方:撮影動画+セルフチェックによるオンライン機能分析にも対応

初回は評価からお受けします。あなたの体で今どの動きが実行可能で、どの指示が実行不可能になっているのかを、その場でお伝えします。

ご予約・ご相談は true-function.com から、またはお電話でどうぞ。

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著者について

鈴木密正(すずき みつまさ)

鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師(国家資格3種)。臨床20年。PRI・DNS・ファンクショナルトレーニングにもとづき、痛みの改善とゴルフパフォーマンスを同じ枠組みで扱う。東大阪Mitz BestPerformance 代表。

※当院は診断を行いません。痛みが強い場合や器質的疾患が疑われる場合は、医療機関の受診を優先してください。

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