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鈴木 密正|関節機能から根本的にスイングを変えるプロ|メディカル ゴルフラボ(@golf_medical_performance)がシェアした投稿

ゴルフのプレーンを安定させる秘密｜コリン・モリカワも実践する「腹圧アドレス」

ゴルフのハーフスイングは調子が良いのに、フルスイングになると急に球が暴れ出す。フォームを整えるためにハーフスイングを練習しているのに、大きく振ると途端に軌道がバラバラになる……そんな悩みを抱えていませんか？中には、ゴルフのアドレスをとるだけで腰が重だるく感じ始めている方もいるかもしれません。

実はこれ、スイング技術の習熟度ではなく、構えた瞬間の「骨格ポジション」に原因があります。どれだけ丁寧にゴルフの基本練習を繰り返しても、土台となるセットアップで腹圧が入らない状態であれば、スイングが大きくなるほどエラーは増幅し、ショットの精度は落ちてしまいます。

今回は、メディカルゴルフラボの視点から、ゴルフスイングの成否を決める「セットアップの重要性」と、世界トップクラスの精度を誇るコリン・モリカワ選手も実践している「腹圧アドレス」の秘密について詳しく解説します。

1. ゴルフアドレスの時点で「腹圧」が決まっている

多くのゴルファーが、スイング中の腕の動きや軌道ばかりを気にします。しかし、実際にはゴルフのアドレスをした瞬間に、そのスイングが体幹を使えるものになるか、それとも手打ちの代償動作になるかは決まっています。

鍵を握るのは「腹圧」です。腹圧とは、横隔膜（おうかくまく）、腹横筋（ふくおうきん）、骨盤底筋（こつばんていきん）という「体幹のユニット」が同時に働くことで生まれるお腹の内圧のことです。この圧がしっかりとかかっていれば、ゴルフスイングの軸となる背骨が安定し、ブレのない鋭い回転が可能になります。

しかし、構えたときに首や顎が前に出ていたり、背中を反らせすぎたりしていると、肋骨が前に滑り出し、パカッと開いてしまいます。この「肋骨が開いた状態」では、体幹ユニットが機能せず、腹圧がスカスカに抜けてしまいます。これが、どんなに練習してもスイングが安定しない根本的な原因です。

2. 腹圧が抜けると、なぜフルスイングで暴れるのか？

ハーフスイングのような小さな動きであれば、腹圧が多少抜けていても、腕のコントロールだけでそれなりに打ててしまいます。しかし、ゴルフのフルスイングのように大きな遠心力がかかる動きになると、腹圧という「支え」がない背骨は、その勢いに耐えきれません。

腹圧が抜けた背骨は、回転の代わりに「腰を反らせる」ことで動きを補おうとします。すると、スイングプレーンは即座に歪み、腕が被って入るアウトサイドインや、極端な手打ちを招きます。

「大きくなると暴れる」のは、単に振るスピードが上がったからではなく、スピードに耐えるための「骨格の締まり（腹圧）」がアドレスの時点でないことが原因です。この状態で練習を続けると、腰に過度な負担がかかり、慢性的な腰痛を引き起こすリスクも高まります。

3. コリン・モリカワも徹底する「腹圧アドレス」の作り方

世界トップクラスのアイアンショットの精度を誇るコリン・モリカワ選手は、アドレスでの首や背骨のポジション、つまり「骨格のセットアップ」を極めて重要視しています。

腹圧が勝手に入るポジションを作るには、背骨のカーブが適切に収まっている必要があります。具体的には、壁を背にしたときに、胃の後ろの背骨と壁との隙間が指1本分程度に収まっている状態が理想です。

この「ゴルフが変わる姿勢」をその場で作るための、クラブを使ったチェック方法をご紹介します。

手順1：クラブを背骨に当てる

ゴルフクラブを一本持ち、後頭部とお尻の先っぽ（仙骨）の両方に当たるように、背中に真っ直ぐ当てます。

手順2：首と顎のポジションを正す

多くの方は首が前に出てクラブから離れています。まずは一度、顔を上に向け、そこから「耳の穴」を軸にして、鼻先を下にグッと向けるように顎を引き込みます。後頭部が天井に引っ張られるような感覚で、クラブに後頭部を接地させてください。

手順3：背骨を後ろに押し当てる

その状態のまま、胃の後ろあたりの背骨をクラブに向かって後ろに押し当てます。ここで「お腹がキュッと締まる」感覚があれば、腹横筋や横隔膜がセットされ、腹圧が入る骨格ポジションの完成です。

手順4：そのまま前傾する

この「腹圧が入った骨格」を維持したまま、股関節から体を前方に倒してゴルフのアドレスを作ります。これが、スイング中ずっと体幹が効き続ける「腹圧アドレス」です。

4. 腹圧ポジションで「ハーフからフルへ」繋げる

この骨格ポジションが出来上がると、腹斜筋（ふくしゃきん）が正しく働き、胸の背骨（胸椎）がスムーズに回旋できるようになります。この状態をキープしたまま、まずはハーフスイングを行い、徐々に振り幅を大きくしていきます。

「骨格が決まった状態」でのハーフスイング練習は、単なる形作りではなく、フルスイングに耐えうる強固な体幹を作るトレーニングになります。

もし、スイングを大きくしたときに腰に張りを感じたり、急に球が曲がり始めたりしたら、それは途中で腹圧が抜けて「骨格の締まり」が解けてしまった証拠です。もう一度セットアップに戻り、後頭部と背骨のコンタクトを確認しましょう。

5. まとめ：ゴルフの技術を磨く前に「型」を整える

ハーフスイングの練習が無駄に終わってしまうのは、スイングという「動き」の前に、アドレスという「静止状態」での骨格が崩れているからです。

• 首や顎が前に出ると、肋骨が開いて腹圧が逃げる

• 腹圧が抜けたまま大きく振ると、腰が反ってゴルフスイングが崩れる

• 後頭部、背骨、お尻を一直線に整えれば、腹圧は自然に入る

ゴルフの技術を磨く前に、まずは自分の身体が「正しく動けるポジション」にあるかどうかを疑ってみてください。コリン・モリカワ選手のような、美しく安定したプレーンは、このミリ単位の骨格セットアップから生まれます。

腹圧が入る正しい骨格を手に入れれば、ハーフスイングの安定感がそのままフルスイングの飛距離と精度に変わります。メディカルゴルフラボと一緒に、あなたのゴルフの「本当の土台」を再構築していきましょう。