膝が前方にスライドする原因は「股関節伸展機能の低下」
ハムストリングと大臀筋で骨盤を安定させるダウンスイング改善法
ゴルフスイングの中で「ダウンスイングで右膝が前に出る」「インパクトで体が突っ込む」「プッシュスライスが出る」
このような現象に悩んでいるゴルファーは非常に多いです。
レッスンでは「膝を出すな」「下半身を止めて回れ」と言われることも多いですが、
意識しても直らない、むしろ動きが硬くなるという声をよく聞きます。
実は、右膝が前方へスライドしてしまう根本原因は、
筋肉の働き方(機能)にあります。
つまり、見た目のフォームではなく、股関節伸展機能の低下こそが問題なのです。
「股関節伸展」とは何か
股関節伸展とは、太ももを後方に引く、つまり脚で地面を押し返す動きのことです。
この動きを主に担うのが、ハムストリング(もも裏)と大臀筋(お尻の筋肉)です。
ダウンスイングでは、この2つの筋肉が連動して働くことで、
骨盤を安定させながら回転を生み出します。
股関節伸展の力で地面反力を受け止め、
上半身へと効率的に力を伝える“橋渡し”の役割を果たしているのです。
⚠️ 股関節伸展が使えないとどうなるのか
股関節伸展機能がうまく働かないと、
身体は代償動作として「膝の前方移動(スライド)」でバランスを取ろうとします。
つまり、股関節で押し返せない分を、膝を前に出すことで帳尻を合わせてしまうのです。
その結果、
- 右腰が前に突っ込む
- 骨盤が前方へスライド
- フェースが開いてプッシュスライス
- インパクトで体が起き上がる
という典型的なスイングエラーが発生します。
この状態では、骨盤が前に倒れ、体幹の回旋軸が保てなくなるため、
スイングの再現性が著しく低下します。
「膝を出すな」では解決しない理由
多くのゴルファーが、右膝のスライドを止めるために「膝を我慢する」意識を持ちます。
しかし、機能が整っていないまま外側からブレーキをかけると、
動作全体が硬直し、力の流れが止まります。
本来のスイングは流れの中で作られるものであり、
止めようとする動作が入る時点で、スムーズな回転エネルギーは消えてしまいます。
その結果、
- スイングがぎこちなくなる
- 腰や膝に負担がかかる
- タイミングが日によって変わる
といった“日替わりスイング”が起きてしまうのです。
解決の鍵は「ハムストリング」と「大臀筋」の再教育
右膝のスライドを根本的に防ぐには、
股関節伸展筋群(ハムストリング・大臀筋)を目覚めさせる必要があります。
これらの筋肉が働くことで、
股関節から骨盤を安定させながら回転できるようになり、
膝を前に出そうとしなくても自然に止まるようになります。
この状態を作るために、Mitzでは以下のような簡単な動作再教育ドリルを推奨しています。
タオルorバンドを使った股関節伸展エクササイズ
✅ ステップ①:姿勢セット
右足を前、左足を一歩後ろに引きます。
後ろ足のつま先はやや内側に向け、体重は前足に8〜9割。
スネは垂直、重心はかかと寄りに乗せます。
✅ ステップ②:タオルを膝の裏に通す
膝の裏にタオル(またはバンド)をかけ、両手で端を持ち、
軽く後ろへ引きながら膝裏を後方に押し出す意識を作ります。
✅ ステップ③:股関節で押し返す
お腹を軽く引き込み、前傾姿勢を保ったまま、
膝裏をかかと方向へ引くようにして押し返します。
このとき、お尻の高さを変えず、腰を反らせないよう注意。
正しく行うと、ハムストリングともも裏に強い収縮感が出てきます。
✅ ステップ④:スイングに転用
動作中に「かかとで地面を押す」感覚が出ていれば、
それが股関節伸展による正しい回転の始まりです。
この感覚を持ったまま素振りを行うと、
- 膝が前に出ずに回転できる
- 骨盤が安定し、軸がブレない
- 下半身から上半身へのエネルギー伝達がスムーズになる
という変化を実感できます。
機能を取り戻せばスイングは自然に整う
ハムストリングと大臀筋が適切に働くと、
骨盤が安定し、股関節からの回旋が再現性をもって行えるようになります。
「膝を出さないように」ではなく、
「股関節で押し返すように」動ける身体が作れれば、
意識しなくても膝は自然と止まり、スイングは流れるように整っていきます。
まとめ:外側の意識ではなく、内側の機能を整える
- 右膝が前に出る原因は、股関節伸展機能の低下
- ハムストリングと大臀筋の再教育が鍵
- 意識で止めるのではなく、機能で支えるスイングへ
股関節伸展が戻れば、膝は自然に安定し、
インパクトで骨盤が強く、スムーズに回転できる体に変わります。
フォーム矯正ではなく、“機能改善”でスイングを変える。
それがMitz式「機能解剖に基づく動作再教育」です。
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